2012年(平成24年) 5月8日(火)付紙面より
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遊佐町吹浦地区の鳥海山大物忌神社吹浦口宮例大祭(通称・吹浦祭り)が4、5の両日、同宮境内や参道でにぎやかに繰り広げられた。あいにくの雨の下、五穀豊穣(ほうじょう)などを願い、華麗な舞で知られる花笠舞を奉納上演。詰め掛けた大勢の祭り客を魅了した。
鎌倉時代から続くという伝統の祭り。宵祭りでは山桜とヤマブキを付けた花笠、5日は深紅の紙製の造花で飾った花笠で舞う花笠舞などの吹浦田楽は、県の無形民俗文化財に指定されている。また同宮本殿は昨年12月、国の登録有形文化財に指定された。
今年も4日午後6時すぎ、いったん雨がやんだ本殿脇の広場で生花の花笠舞。幽玄な雰囲気の中で舞が終わると、見守っていた観客に花がプレゼントされた。
5日は午前9時から本殿で例大祭神事。正午すぎに吹浦小5、6年生による子供樽(たる)みこし2基、県内はもとより首都圏からも担ぎ手が集まる吹浦みこし、漁業関係者が担ぐ漁船の形をした珍しい船みこしが、相次いで同宮を出発。
午後1時半ごろ、白装束、烏帽子姿の遊佐中学生らが担ぐ同宮のみこし2基を中心にした渡御(とぎょ)行列が始まり、露店が立ち並ぶ参道を伊達奴(だてやっこ)の先導で、晴れ着姿の未就学児による「台花持ち」などが約2時間かけて吹浦地区中心部を練り歩いた。
行列が同宮に戻ると、巫女(みこ)舞などを奉納。このころから雨が本格的に降り出した。それでも深紅の花笠をかぶった8人の舞手は、雨で光る特設舞台で楽人の太鼓と笛の音に合わせ、手にしたササラを打ち鳴らしながら華麗かつ力強く舞を披露。舞が終わり花笠が四方に投げ入れられると、見物客らは縁起物の花を競って奪い合い、花笠はあっという間に消滅した。