2012年(平成24年) 8月8日(水)付紙面より
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国指定重要無形民俗文化財「杉沢比山」が6日夜、遊佐町杉沢の熊野神社で奉納上演され、洗練された美しい舞の数々が観客を魅了した。
杉沢比山は、山伏修験者によって伝承された雅楽「番楽」の一種で、鳥海山修験者から村人に受け継がれたらしい。様式などから鎌倉時代には舞われていたとみられる。美しくユニークな型、鮮やかな舞で芸術的価値が高いと評価され1978年、国の重要無形民俗文化財に指定された。
神を迎える準備の公演とされる「仕組」(8月6日)、神を迎えての公演「本舞」(同15日)、神を送る公演「神送り」(同20日)の3回を現地公演と称し、同神社境内に特設した約3・6メートル四方の畳敷き舞台で奉納上演している。
今年の「仕組」は、日中の暑さこそ残るものの、時折涼風が吹く中、午後7時ごろにスタート。八幡太郎義家の家来・鎌倉権五郎景政の勇ましい戦いぶりをたたえた「景政」、雌雄2羽の鶏が戯れ合う「鳥舞」、途中に鬼が登場する「高時」など計9曲が次々と披露された。
会場には大勢の地区民や行楽客が訪れ、星空の下で演じられる勇壮な舞に見入っていた。本舞の15日、神送りの20日も午後7時ごろから行われる。