2012年(平成24年) 8月15日(水)付紙面より
ツイート
福島県から招いた小学生に、庄内地方の豊かな自然をフィールドにしたさまざまな体験活動を行ってもらうことで、笑顔になってほしいという事業「やまがた自然体験キャンプ2012」が12日までの4日間、遊佐町内で繰り広げられた。
青年リーダーの育成と地域活動に取り組む青年のネットワークづくりを目的に、県が2009年度から続けている「青年交流事業」を企画運営する「青年交流企画運営委員会」(冨樫知子委員長、委員45人)と県教委が主催。東日本大震災以降、不自由な生活を余儀なくされている人々を、「自分たちの力の及ぶ範囲で支援したい」との思いから、福島の子供たちをキャンプに招待した。
小学生60人(1、2年生は保護者同伴)の定員で募集したが好評で申し込みが殺到。「3時間で打ち止めにした」(県教育庁生涯学習振興課の酒井孝社会教育主査)という。最終的に福島県全域から児童65人、保護者7人の計72人が参加。県内外の学生ボランティア33人をはじめ多くの地元住民が協力した。
子供たちは、JR福島、郡山両駅に集合し9日朝、バスで出発。昼すぎに活動の拠点になる遊佐町菅里の県海浜自然の家に到着した。昼食後、体育館で開会行事。初めて出会った友達やボランティアらとあいさつして打ち解けた。その後、活動班ごとに野外炊飯。夕食用のカレー作りに汗を流した。
10日は午前中、3グループに分かれて清流・牛渡川や神秘的な沼・丸池の散策、ロープを使った木登り体験、同家そばにあるフィールドアスレチックなどを楽しんだ。午後は海岸に移動。西浜海水浴場北側の防波堤に囲まれたエリア内でカヌーを体験した。初めての子も多く、最初は真っすぐ進まなかったもののすぐに慣れ、上手にパドルを操って快走していた。
いわき市から訪れた市立中央台北小3年の佐藤琴心(ことみ)さん(9)=は「すっごく楽しかった」と感想。友達に誘われ福島市から参加したという市立大森小6年の渡邉樹君(12)は「海がきれい。カヌーは一度やったことがある。前より上手にできて面白かった」と話した。
11日は鳥海登山。3―6年生は秋田県側の鉾立から中腹までを往復。1、2年生と保護者は鉾立近くの展望台までで戻り、十六羅漢や釜磯を訪れた。夜は同家のグラウンドに張ったテントに宿泊。
最終日の12日は、拾っておいた石を使いクラフト製作に取り組んだ後、数々の体験を作文にした。昼食後、別れの集い。いっぱいの思い出を胸にしまい込んで帰途に就いた。
総指揮を執った酒井主査は「子供たちの笑顔を見ると、実施して本当に良かった」と話していた。