2013年(平成25年) 1月5日(土)付紙面より
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遊佐町吹浦の女鹿集落で3日夕から夜半にかけ、奇習「アマハゲ」が繰り広げられた。鬼のような形相の面をかぶり、「ケンダン」と呼ばれるみのをまとったアマハゲが奇声を上げながら集落内の家々を回った。
アマハゲは、吹浦地区のうち「浦通り」と呼ばれる秋田県境に近い滝ノ浦、女鹿、鳥崎の3集落に残る新年行事。冬の間、何もせずにこたつに入ってばかりいるとできる赤い斑点「あまげ」を剥ぎ取るという意味の「あまげはぎ」が転じたものとされ、怠け心を戒めて勤労・勤勉を促す風習とされる。
3集落ともほぼ同様の形態で受け継がれ、1984年に「遊佐の小正月行事」の一つとして国の重要無形民俗文化財に指定された。毎年、元日に滝ノ浦、3日に女鹿、6日に鳥崎でそれぞれ行われている。
3日は、女鹿集落の若衆8人が参加。太鼓を担当するリーダーの池田智己さん(37)を除く7人がみのをまとい、交代で「赤鬼」「青鬼」「赤じんじ」「黒じんじ」「がんぐつ」と呼ばれる漆塗りの面をかぶって「アマハゲ」役となった。
玄関先で「ドーン、ドーン」と勢いよく太鼓を打ち鳴らすと、奇声を発しながらアマハゲが一斉に家の中に。子供たちは怖さのあまり泣き叫んだり、両親やおじいちゃん、おばあちゃんにしがみついていた。
海寄りの暴風にあおられた雪が漆黒の闇を舞う中、アマハゲは集落内の40戸ほどを回った。ケンダンから落ちたわらくず「コモジ」は掃き集められ、家内安全や無病息災を願う縁起物として床の間に飾るという。