2019年(令和1年) 9月5日(木)付紙面より
ツイート
県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室(酒田市浜中)で、かんきつ類の一種「スダチ」の収穫作業が盛んに行われている。地球温暖化に伴う適応性調査のため2010年シーズンからカボスやユズ、温州ミカンなどとともに試験栽培しているもの。果皮を若干乾燥させ、搾りやすくする「予措(よそ)」を終えたものから順次、庄内地域の飲食店や宿泊施設などに有償提供し、品質を評価してもらう。
東北地方では100年後の年平均気温が2―3度上昇すると予測され、庄内地域の一部が温州ミカンの栽培に適する年平均気温が15―18度になる可能性があるという。
県は長期的な視点に立ち2010年、「地球温暖化に対応した農林水産研究開発ビジョン」を策定。これを受け、同研究室は温暖地型作物の栽培適応性調査の一環で広くかんきつ類の試験栽培を始めた。調査結果からスダチの適応性が高いことが分かり、「地球温暖化対応プロジェクト総合戦略事業」として栽培実証や販路確保に取り組んでいる。
同研究室開発研究専門員の石川妙さんによると、昨季は地元の飲食店や宿泊施設に有償で提供したところ、店主、経営者から「(名産地の)徳島県産と遜色ない出来」「地産地消に向け、地元産をより多く扱っていきたい」といった声が上がり、かなりの好評を得たという。
同事業の最終年度となった今季は早熟な上、果実の肥大も順調。収穫作業は平年に比べて1週間ほど早い先月28日に始まった。3日午前は同研究室職員が出て、一つずつ丁寧にはさみでもぎ取っていた。今季はほ場全体で2Lサイズ(直径36―39ミリ)以上のスダチ約5000個の収穫を見込んでおり、作業は9月いっぱい続くという。
石川さんは「これまで研究を進めてきた貯蔵方法も確立することができた。ジャム、シャーベットにしてもおいしく、使い道が幅広い。キャッチコピーとして掲げている『北限のスダチ』をさまざまな形で活用してもらえたら」と話した。
2019年(令和1年) 9月5日(木)付紙面より
ツイート
県立遊佐高校(池田理校長、生徒81人)の生徒会役員選挙が3日、同校で行われた。遊佐町選挙管理委員会の協力で実際の選挙で使われる記載台と投票箱、投票用紙を使用し、生徒たちは次々と投票。開票作業中には町職員による選挙講話に耳を傾けた。
選挙権年齢の18歳以上への引き下げ(2016年)を受け、生徒たちの主権者意識高揚などを目的に同校では前年の15年度から町選管立ち会いの下、生徒会役員選挙を実施。一方、若年層への投票啓発を狙いに、今年4月の県議選を含め各種選挙の際、生徒たちはボランティアで期日前投票事務の補助も行っている。
今年は、「コミュニケーション能力を養うためにも学校行事を増やす」という公約を掲げた三浦聡太君(2年)が生徒会長、「より良い学校にするため先輩をサポートする」と訴えた澁谷太陽君(1年)が副会長にそれぞれ立候補、いずれも信任投票で当選が決定した。
開票作業中には町選管事務局の友野毅さんが「若者を取り巻く選挙の現状について」と題し講話。「今夏に行われた参院選で遊佐町の投票率は58・41%。県内35市町村中、32位だった」「年齢が高くなるに連れて投票率も高くなる傾向がある」などと述べ、「普段の生活の中で感じたことなどをきっかけに、ぜひ投票に行ってほしい」と呼び掛けた。
役員選挙の投票事務を担った2年、後藤乃愛さん(16)は「将来につながる良い経験になった。18歳になったら必ず選挙に行きたい」と話した。