2019年(令和1年) 10月1日(火)付紙面より
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奥の細道紀行330年記念第61回「奥の細道」羽黒山全国俳句大会が29日、鶴岡市のいでは文化記念館で開かれた。全国各地から俳句愛好者が参加し、羽黒山の自然や文化、歴史に触れ、選者に招かれた俳人の夏井いつきさんの選評と作家の夢枕獏さんの講演を通じて創作について思索を深めた。
俳聖・松尾芭蕉が元禄2(1689)年、出羽三山を訪れ、多くの名句を残した。また俳人・高浜虚子が1956(昭和31)年に出羽三山を訪れており、これを機に59年(同34)年から羽黒山全国俳句大会が始まった。出羽三山神社や鶴岡市などによる実行委員会が主催。今回は兼題(当季雑詠)の一般の部に全国から752句、子どもの部に2741句が寄せられ、大会当日の出羽三山当季雑詠には132句の投句があった。
大会には地元をはじめ県内外から約120人が参加。冒頭には奥の細道紀行330年記念事業に関する関係自治体による全国キャラバン隊セレモニーもあり、「俳聖の火」の分火なども行われ、夢枕さんの「俳句と縄文」と題した講演、夏井さんによる選評、表彰式、記念撮影などが行われた。
前日の28日夜は、羽黒山頂の出羽三山神社参集殿で、大会前夜祭として、大会に協力している角川文化振興財団の「俳句」編集長・立木成芳さんの進行で、選者2人による特別対談があり、県内外から約60人が参加した。
夏井さんと夢枕さんは俳句を通じて親交があり、俳人と小説家それぞれの創作活動について軽妙な掛け合いで紹介。ジャンルは異なるものの2人とも「表現することは楽しいもの」と語った。夏井さんはテレビ番組「プレバト」のエピソードなども紹介し、「俳句を作る人は好奇心が旺盛なもの。自分の好奇心を満たすため、とにかく外に出て取材活動をしてみる。そうしているうちに、句帳にたまった言葉が、ある日ポコンとはじけて(句として)出てくるはず」と語り掛けていた。
2019年(令和1年) 10月1日(火)付紙面より
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鶴岡市馬場町の庄内藩校致道館と荘内神社参集殿で28日、「致道館の日」孔子祭や子どもたちによる論語作文発表会などが行われた。孔子をしのぶとともに、致道館の教育精神の伝承へ思いを新たにした。
孔子祭は、致道館が文化2(1805)年に開校されて以来、孔子を祭った同館の聖廟(せいびょう)で行われていたが、廃校とともに途絶えた。致道館精神の継承を目的に活動している致道館文化振興会議(会長・橋本政之荘内日報社社長)が2000年に復活させ、今年で20回の節目を迎えた。
会員や同振興会議が主催する「少年少女古典素読教室」の受講生と家族ら約40人が出席。孔子の聖像を掲げた御入間での神事に続き、論語抄第61章「子(し)、顔淵(がんえん)に謂(い)って曰(のたまわ)く。…」を全員で素読し、続いて全国漢文教育学会北海道東北地区評議員の菅原直香氏による講経を行い、儒教の祖をしのんだ。
荘内神社参集殿では本年度の第11回児童・生徒論語作文で入選した児童5人がそれぞれ論語作文を発表。「たくさんのことを教えてくれる論語をこれからも読み続けて、自分を高めていきたい」などと、好きな論語のことや学びの成果をまとめた作品を力強く読み上げた。続いて黒川能下座能太夫の上野由部氏が「黒川能と庄内藩酒井家」の演題で記念講演した。