2019年(令和1年) 10月10日(木)付紙面より
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高速道路・地域高規格道路整備促進セミナーが8日、鶴岡市の東北公益文科大大学院ホールで行われた。県が主催したもので約100人が参加した。
日本海沿岸東北自動車道(日沿道)と国道47号新庄酒田道路が交差する格子状交通網の早期実現に向け、機運を高めようというセミナー。秋田大理工学部の浜岡秀勝教授(50)の基調講演では、将来の人口減少で“道路は必要ない”というわけではなく「医療施設や買い物施設が遠くなる可能性が高くなる」という観点から、高速道路や自動車専用道路の全線開通が必要との理論を展開。一方、専用道はスピードが出過ぎることの抑制措置として「ラウンドアバウト」の設置を説いた。交差道路の中央に「島」を置き、周回させながら方向転換させるもので、いや応なく車は減速し、安全効果は大きい。欧米やオーストラリアなどではかなり普及している。
また道路利用者としての意見発表もあった。肘折温泉(大蔵村)の大友屋旅館・大友久士さん(56)によると、豪雪で冬季人気の観光地となってきたが、道路事情もあって、車の出入りが大変なことを挙げ、駐車場の整備を課題に挙げていた。また自炊ができる湯治場としても有名だが、県外の若い人たちはアマゾンなど通販で旅館に食材を届けさせていることが説明され「時代は変わったものだ」と驚く出席者もいた。
2019年(令和1年) 10月10日(木)付紙面より
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酒田市と西松建設の共同出資による「光の湊」が事業主体となり、同市のJR酒田駅前で進められている駅周辺整備事業に関し、工事現場を囲むフェンスにアートを施すイベントがこのほど、現地で行われた。東北芸術工科大グラフィックデザイン学科の原高史学科長・教授(現代美術)の指導で、芸工大生と酒田光陵高生が協力して窓や初代酒田灯台、北前船、山居倉庫をモチーフにした作品を制作、周囲は華やいだ趣になった。
イベントは、2020年10月ごろの先行オープン、22年4月のグランドオープンに向けて整備が進む事業に対する市民の機運醸成、駅前地区のにぎわい創出を図ろうと、実施主体の「西松・大場・菅原特定建設工事共同企業体(JV)」が社会貢献活動の一環として企画。市文化芸術推進計画に基づき市も協力した。
原学科長のゼミを履修する2、3年生6人と助手2人が来酒し、光陵高情報科、美術部から1、2年生計18人が参加。学生・生徒は5班に分かれて最初、街づくりに関するワークショップを行い、▽酒田でイベントをするならどこで何を▽施設完成後の使い方▽酒田にどんな場所があったらいいか―といった5つのテーマについて話し合った。
「飛島に海上遊園地や海のサーカスを」「スケート場でプロジェクションマッピング」「ダラダラできる空間をつくって」など生徒たちのアイデアはさまざま。これらのアイデアは、「新しい風を取り込む・呼び込む」という願いを込めて原学科長と学生たちがフェンスにデザインした「開け放った窓」の周囲に文字で配置した。
また、学生たちが荒波を行く北前船、酒田のシンボルとなっている酒田灯台と山居倉庫などをモチーフにした図柄をフェンスにカッティングシールで描き、灯台が照らす「ともし火」一つ一つの中には参加者全員でメッセージを書き込み、周囲に貼り付けた。
原学科長は「市民みんなで創造するフェンス。このアートを見ることで、この場所を意識し興味を持ってもらえたら」と話した。11月には酒田南高の生徒たちが協力して同様のイベントが行われる。