2019年(令和1年) 10月14日(月)付紙面より
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県企業局が酒田市浜中の十里塚海岸で進める県営風力発電所建設工事の安全祈願祭が11日、現地で行われ、2021年1月の運転開始を目指し工事が本格的に始まった。同海岸の北方約1キロでは酒田市による風力発電所建設工事も先月から始まっている。
県は東日本大震災の教訓を踏まえ12年3月、31年までの20年間を計画期間とする県エネルギー戦略を策定し、再生可能エネルギーの普及を前面に打ち出した。これに基づき同年8月には先導的な事業として、酒田市と共に風力発電に参入する計画を発表した。
県の計画では、同市浜中の十里塚海岸に最大出力2300キロワットの風車を3基設置する。タワーの高さは78メートル、ブレード(羽根)の直径は82メートル、最大の高さは119メートル。21年1月ごろから稼働し、一般家庭約4300世帯分に相当する年間1450万キロワット時を発電し、固定価格買取制度で東北電力に1キロワット時当たり22円で売電する。総事業費は約41億円を見込み、売電開始から約18年で経費は回収できるという。
この日の安全祈願祭には、県企業局や酒田市、庄内森林管理署、周辺自治会、工事を請け負った日立パワーソリューションズ(本社・茨城県日立市)の関係者ら約40人が出席。県企業局の高橋広樹企業管理者らが神事でくわ入れを行い、工事中の安全を願った。
高橋管理者はあいさつで「建設予定地の一部が県立自然公園にかかるため自主的な環境影響評価を行い、住民説明会や意見を踏まえた追加調査など丁寧に事業を進めてきた。工事の進捗(しんちょく)に合わせ適切なコミュニケーションに努めるので、引き続き理解と協力を」と述べた。
発電所建設工事は昨年12月に発注し、今年9月に着工。赤川河口右岸から北に向かい、海岸沿いに取り付け道路を整備した。今後は12月ごろまで地下十数メートルの岩盤層まで基礎くいを打ち、来年4月末までにタワーの基礎を造る。基礎の高さは海抜10メートル。野鳥への配慮で5―8月は工事を休止。同9月ごろからタワーの組み立てに入り、10月末ごろから11月初めごろにかけ試験運転を始める。風車の部材は酒田北港に陸揚げし、陸上輸送するという。
一方、酒田市は県の約1キロ北方で県と同規模の最大出力2300キロワットの風車3基を整備する。建設工事は先月に着工し、県と同様に21年1月の稼働を目指す。総事業費は、県が整備する蓄電設備などがないため、約31億円を見込む。
県と市は送電線敷設工事を共同で実施するなど連携しているが、事業自体は別々と主張している。そのため出力1万キロワット以上の風力発電に義務付けられている環境アセスは「対象外」としてそれぞれ自主的に実施。こうした手続きのほか、建設現場がこれまで県内では実績のない砂防林最前線の砂草地のため、環境団体などから「手を付けたら元に戻すのが困難」など懸念が出ていたが、それを押し切る形での着工となった。今後の環境変化や、その対応が注目される。
2019年(令和1年) 10月14日(月)付紙面より
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大型観光誘客事業「新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン(DC)」(12月末まで)の企画の一つとして酒田市中町モールで12日午後、庄内地域の18酒蔵をはじめ県内全酒蔵が醸した地酒の飲み比べを楽しむ「おいしい食の都庄内酒まつり」が開かれ、あいにくの天候にもかかわらず、日本酒ファンが大勢繰り出し心行くまで味わった。
「新潟・庄内DC」のメーンテーマは「日本海美食旅(ガストロノミー)」で、新潟と庄内の「美食」「美酒」を全国に向けて発信する。
酒まつりは昨年のプレDC時に続き2回目。この日正午から行われたオープニングセレモニーでは、県観光キャンペーン推進協議会長を務める國井英夫庄交コーポレーション社長の音頭で来場者全員が高々と杯を掲げた。
77銘柄が集まり、来場者は各ブースを回って100円でおちょこ1杯分を試飲。グルメでは、県産ズワイガニ「庄内北前ガニ」を使って同市のレストラン「ロアジス」最高顧問で「食の都庄内」親善大使を務める太田政宏さんが監修した「キッシュ」「クリームコロッケ」や、焼きガニなどが数量限定で並び、開始早々に売り切れ続出。訪れた人たちは庄内、県内を代表する「美酒」「美食」を堪能していた。