2019年(令和1年) 10月25日(金)付紙面より
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酒田市平田地域特産の「平田赤ねぎ」の収穫が22日始まり、生産者たちが太く、赤く色づいたネギを次々に掘り起こした。
平田赤ねぎは江戸時代末期、北前船で訪れた上方商人が平田・飛鳥の船着き場で湧き水を飲ませてもらったお礼に、種を置いていったのが始まりといわれる。枝分かれしない一本ネギで、太く、根元の表皮が赤く、生では辛味が強く、火を通すと甘味が強いのが特長。
平田地域の飛鳥、砂越、楢橋などで農家が自家消費用に作ってきたが、旧平田町が産直施設「めん玉畑」(飛鳥)を整備したのを機に2000年から特産化。現在はJA庄内みどり平田赤ねぎ専門部(会員4人)が栽培し、今年は約60アールに作付けした。
収穫初日となった22日は午前10時ごろから同市中野目のほ場で、部会員や季節雇用の作業員ら約10人がネギを掘り起こすと、鮮やかに赤い根元部分が現れた。余分な土を払い落とし、次々に軽トラックに積み込んだ。
石川巌部会長(62)=中野目=は「今年は白ネギに軟腐病が流行しているが、赤ネギに被害はなく、生育は順調。太く、赤みも強い高品質なものが多く、おいしく食べてほしい」と話した。
平田赤ねぎは首都圏を中心に高い人気があり、一時は供給量を重視したために品質低下を招いた。その反省から15年から供給量を抑え、赤ネギ本来の形状や味を持つものの選抜育種に注力。「今年はこの時期としては形も色もとても良いものが多く、選抜の効果が相当出てきている」(石川さん)という。
この日収穫したものは、26日に首都圏向けに出荷する。11月に入ると、地元でもスーパーなどに出回る。収穫は同中旬をピークに12月中旬ごろまで続く。
2019年(令和1年) 10月25日(金)付紙面より
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黒森歌舞伎(県指定無形民俗文化財)のポーランド公演を支援しようと、今春から同歌舞伎にちなんだTシャツなどオリジナルグッズの制作・販売の応援プロジェクトに取り組んでいる酒田市内の有志が23日、グッズ販売の収益金約11万5000円を同歌舞伎関係者に寄付した。
黒森歌舞伎は同市黒森地区に約280年前から伝わる農民芸能。日本・ポーランド国交樹立100周年を記念し、全国の約170の地芝居を代表して招かれ、継承団体「妻堂連中」(冨樫久一座長)や市の関係者ら41人が来月2―9日に渡航、首都ワルシャワ市など2カ所で計4公演してくる。
応援プロジェクトは、グラフィックデザイナーの久松理子さん(緑町)が中心になって立ち上げた。趣旨に賛同したシルクスクリーン技術者の佐野圭さん(砂越)の協力で隈(くま)取りの絵柄など同歌舞伎にちなんだTシャツを作り、4月末から黒森日枝神社の例大祭などで販売。さらに「カメラの七桜」(中町二丁目)の北村薫さん、文具販売「書の庵」(亀ケ崎二丁目)の齋藤健太郎さんも、各店舗やクルーズ船寄港時の売店で販売。北村さんはまた、同歌舞伎にちなんだオリジナルのキーホルダーとフォトフレームも作り、販売している。
23日夕、黒森日枝神社演舞場に久松さん、佐野さん、北村さん、齋藤さんらが訪れ、妻堂連中の五十嵐良弥副座長に、グッズ販売の収益として11万4640円を寄付した。販売品の内訳はTシャツ354枚、キーホルダー57個、フォトフレーム8個。ポーランド公演の経費に充てる。
久松さんは「黒森歌舞伎を応援したい人たちがこれだけいるということ。応援する仲間ができたことは大きな財産で、この縁を生かし、さらに黒森歌舞伎のファンを増やしたい」、五十嵐副座長は「支援に感謝。ポーランドでは心に残る芝居をして爪痕を残してくる。皆さんとの素晴らしい関係が今後も続き、ファンがさらに増えることに期待」とそれぞれ語った。
佐野さんの店「FUN☆K」(砂越)、カメラの七桜、書の庵では今後もTシャツなど応援グッズの販売を継続する。Tシャツの価格は1枚2500円(税込み)。問い合わせは黒森コミュニティセンター=電0234(92)2255=へ。黒森歌舞伎応援プロジェクトのサイトからも申し込める(Tシャツ価格は手数料を加え2800円)。