2019年(令和1年) 11月2日(土)付紙面より
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鶴岡市教育委員会は31日、地方の文化向上に尽くした人に贈る「高山樗牛賞」の本年度受賞者に、俳句の創作活動を通して地方文化の啓発向上に貢献している畠山カツ子さん(80)=鶴岡市若葉町=を決め、発表した。小中学生を対象とした同賞の奨励賞には朝暘二小6年の五十嵐大翔(ひろと)君(12)が選ばれた。授賞式は11月25日に同市のグランドエル・サンで行われる。
樗牛賞は、歴史小説「滝口入道」などで知られる庄内が生んだ明治の文豪・高山樗牛(1871―1902年)の偉業を顕彰し、地方文化の向上を目的に樗牛出身地の同市教委が1958年に制定。庄内に居住し、文芸、評論、作文などで功績のあった人に贈られている。今回が62回目。
樗牛賞を受賞する畠山さんは金山町生まれ。小学生の頃から新聞や雑誌に俳句を投句した。中央では俳誌「花曜」で活躍し、鶴岡では夫の畠山弘さん主宰の俳誌「爐」を創刊から終刊まで長年にわたり俳人として、また裏方として支え続けた。
自由律系で学び、独自のリズム、個性豊かな句風は日々の生活を大切にする細やかな感性が伝わってくる。地域の俳壇選者や県現代俳句協会副会長を務めるなど、後進の育成や地域の俳句文化の資質向上にも力を注いでいる。「たまゆら」「三餘」など4つの句集を出版。
夫の弘さんも第29回(1986年度)樗牛賞を受賞しており、夫婦での受賞者となった。カツ子さんは「思いもしなかった受賞で、とてもうれしい。鶴岡でさまざまな人と人とのつながりに恵まれたことに感謝したい」と喜びを語った。
奨励賞に決まった五十嵐君は、小学2年の時に大阪から鶴岡に引っ越してきた。奈良に住む祖父母に、鶴岡でのさまざまな体験を伝えたと、小学5年の春先から文章を書き始め、驚きや喜びを生き生きと表現。日記「鶴岡体験記」の作品は未来の生活への期待感にあふれて前向きな自分史に仕上がっており、豊かな感性と創造性に富む表現力が評価された。