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2020年(令和2年) 6月9日(火)付紙面より

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市民レベルで解決策探る 鶴岡の医療を守る市民研究会が発足

 人口減少や高齢化などを背景に医師不足や看護師不足など複雑、多様な課題を抱えている地域医療について、市民レベルで現状を知り解決策を考えようという「鶴岡の医療を守る市民研究会」が6日、発足した。毎月1回程度、市民や医療関係者ら幅広い層を対象にした講座を開催し、鶴岡市をはじめとする南庄内医療圏の地域医療の実情を学んでいく。1回目の講座は今月29日(月)に同市第三学区コミュニティセンターで開く。

 鶴岡地区では医療機関の病床数減少などのほか、診療科目によっては患者が日本海総合病院(酒田市)で手術や治療を受けるケースもあり、地域の基幹病院でもある鶴岡市立荘内病院を中心にした医療体制の在り方が大きな課題となっている。

 こうした中、地域の医療関係者ら有志が「地域医療の崩壊を防ぎ鶴岡の医療を守ろう」と呼び掛け合い、昨年から研究会の立ち上げを模索していた。市第三学区コミュニティセンターで6日夜に開かれた発足会には、研究会の委員となる医療関係者や鶴岡商工会議所、鶴岡青年会議所の会員、鶴岡市議会の各会派の市議ら13人が出席。研究会代表に就いた鎌田剛東北公益文科大准教授が「地域医療に対する市民の危機意識が低いのが問題。地域医療を守るため市民一人一人が当事者意識を持ち、地域全体で考える機会をつくろう」とあいさつ。呼び掛け人を代表して整形外科医の黒羽根洋司氏が、研究会立ち上げまでの経過を報告し、「鶴岡の医療を何とかしなければならない。まずは市民と一緒に現状を知ることが大切だ」と発足の趣旨を説明した。

 委員からは「鶴岡を中心にした南庄内だけでなく庄内地域全体の医療を考えるべきでは」といった意見も出された。これに対して黒羽根氏ら呼び掛け人は「地域の医療崩壊を防ぐため、問題提起して共通認識を持ちながら、まずは南庄内の現状を正しくしっかり把握することが大事。その後に北庄内との連携も視野に入ってくる」と説明した。

 研究会の活動では、今後月1回程度の市民講座開催を計画。1回目は29日午後6時半から、第三学区コミュニティセンターのホールで開く。講師には同市のすこやかレディースクリニックの斎藤憲康院長を迎える予定で、研究会事務局の瀬尾利加子さん(瀬尾医療連携事務所代表)が地域の医療連携の現状を報告し、参加者と意見を交わす。講座はオンライン中継も予定。

 講座参加には資料代が必要。参加申し込み、問い合わせは研究会事務局の瀬尾医療連携事務所=電0235(25)6567=へ。

地域医療の崩壊を防ぐため市民レベルで考えることを目的にした「鶴岡の医療を守る市民研究会」の発足会
地域医療の崩壊を防ぐため市民レベルで考えることを目的にした「鶴岡の医療を守る市民研究会」の発足会


2020年(令和2年) 6月9日(火)付紙面より

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日々奮闘の居酒屋「全部行ぐ。」 無料で番組制作し応援

 鶴岡市内の企業が、ユネスコ食文化創造都市の食文化の担い手の1つでもある居酒屋にスポットを当て、市内の居酒屋を巡って収録した番組をインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で紹介する取り組みを進めている。題して「鶴岡の居酒屋全部行ぐ。」。昨年9月から投稿を始め現在22店舗をアップ。これまでの総視聴回数は5万回を超え、担当者は「市内には100軒以上の居酒屋がある。何年かけても全部行きます」と宣言している。

 番組作りを進めているのは、電子部品製造やテレビ番組制作などを手掛ける同市遠賀原のエスティーエム(工藤高嗣社長)。訪れる人に喜んでもらうため、地元食材にこだわり安くてうまい料理を提供するなど日々奮闘している居酒屋を応援しようと、昨年7月に「STM Channel」を立ち上げた。

 電話帳などで調べると、市内には100軒を超える居酒屋があるが、これを全部紹介することを目標に掲げ、タイトルを決めた。店舗の紹介料は無料で、1店舗当たり7分間の番組に仕上げる。

 内容は、20代から60代までの男女5人のリポーターのうち1人が店を訪れ、「3000円ぴったりを目指して飲み食いする」というミッション遂行型の番組。リポーターが店舗の前で場所を紹介しながらのれんをくぐり店に入るところから始まり、店内の雰囲気や席数をリポートして酒や料理を注文。店主との会話で店のこだわりや特徴を引きだしながら、酒や料理の「ブツ撮り」「食リポ」と進む。動画を通して視聴者から来店の疑似体験をしてもらい、実際に足を運んでもらうことにつなげる。

 新型コロナウイルス感染症の影響で4月から撮影を手控えていたが、2カ月ぶりに今月2日に再開した。再開第1号となった同市本町二丁目の居酒屋「花さき」に、リポーター役の同市在住のラジオパーソナリティーの小野加州男さん(66)、エスティーエムメディア事業部長でカメラマンの佐藤俊彦さん(38)、同事業部ディレクターの石川孝輔さん(31)の制作スタッフ3人が訪れ、約1時間にわたって撮影を進めた。

 小野さんはメニューを紹介しながらお気に入りの酒2杯と料理3品を注文。肝心の3000円ぴったりのミッションは2700円台となり、「2カ月ぶりの収録で勘が鈍った」と苦笑い。店の雰囲気と相まって愉快で明るく楽しい収録となっていた。

 花さきの女将(おかみ)の小田代(おだしろ)文子(ふみこ)さん(63)は「番組収録は初めての経験で緊張した。でも、楽しむことができ、お店がどんなふうに紹介されるか楽しみ。花さきを知らない人にも見ていただき、足を運んでもらうきっかけになれば」と話した。

 飲食代や撮影に関する費用は全て同社が負担する。収録した店は、2週間ほどでユーチューブにアップする。今後、週1軒程度のペースで店舗を巡る計画。

 番組を視聴した人たちから「鶴岡に行ってみたい、住んでみたい」「紹介されたお店に行って、リポーターさんと同じ料理を食べてきた。おいしかった」といったコメントも寄せられている。

 佐藤メディア事業部長は「新型コロナの影響もあるが、紹介を通して鶴岡の居酒屋業界が少しでも元気になってもらえれば。居酒屋好きの市民だけでなく、旅行者や出張で訪れるサラリーマンなど多くの人が気軽に楽しめる映像を作り、地元に貢献していきたい」と話し、「鶴岡の居酒屋全部行ぐ。本気です」と意気込む。

 同社は番組に登場してもらえる店舗を募っている。問い合わせはエスティーエムメディア事業部=電0235(64)1511、メール=stm.channel.mediaprod@gmail.com=へ。

2カ月ぶりに再開した「鶴岡の居酒屋全部行ぐ。」の収録=2日、鶴岡市本町2丁目「花さき」
2カ月ぶりに再開した「鶴岡の居酒屋全部行ぐ。」の収録=2日、鶴岡市本町2丁目「花さき」



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