2022年(令和4年) 9月29日(木)付紙面より
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庄内浜で水揚げされる低利用魚のカナガシラの消費拡大を図る研究会の第2回会合が27日、鶴岡市の由良コミュニティセンターで開かれた。参加者がそれぞれ工夫を凝らしてソテーやスープカレーなどを作り、カナガシラの新たな魅力と可能性を引き出した。
鶴岡食文化創造都市推進協議会が取り組む「魚のおいしいまち鶴岡キャンペーン」の一環として企画した。同キャンペーンは低利用魚を含む地魚の消費拡大や評価向上が目的で、今回はカナガシラをピックアップ。特性や調理法などを研究し、同市内の飲食店などで一般向けの料理提供につなげ、消費拡大を図る。第1回会合は今月13日に座学形式で行われた。
第2回会合は実際にカナガシラを調理。鶴岡市内の料理人や天童市の水産物・加工品等卸売会社の関係者など計5人が参加した。また、蒲鉾の製造販売を手掛ける竜泉・滝川(鶴岡市)が慶應義塾大先端生命科学研究所と連携し、メタボローム解析を使ったカナガシラなど地魚の練り物製品加工データと、カナガシラのつみれを提供した。
統一のメニューは決めず、参加者たちは試行錯誤して考えた料理をそれぞれ披露。ブルーチーズや県産洋梨などをソースにしたソテー、ホタテやサラダチキンなどと煮込んだアクアパッツァ、カラッと揚げた竜田揚げ、カナガシラのつみれを使ったスープカレーなどが完成した。また、講師役のゆらまちっく海鮮レディース代表の和田光子さんは、みそ汁や煮物など由良地区での食べ方を伝授した。
試食会の前に、料理の香りにつられた地元の小学生たちが飛び入りで参加。豊浦小3年の佐藤虹奈さんは「カナガシラを食べたのは初めてかも。お刺し身もスープカレーもとってもおいしい。レストランの料理みたい」と目を丸くしていた。
参加した玉谷製麺所(西川町)専務で庄内浜文化伝道師の玉谷貴子さんは「山形の魚のため役に立ちたいと考え参加した。カナガシラの肝と県産洋梨の相性が自分でも驚くほど良く、おいしいソースができた。カナガシラはみそ汁だけじゃなく、いろいろな料理ができることを知らせたい」と話していた。
2022年(令和4年) 9月29日(木)付紙面より
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環境省は27日、鶴岡市の由良温泉を新たに「国民保養温泉地」に指定したと発表した。同市内では2001年指定の湯田川温泉、18年の湯野浜温泉、19年のあつみ温泉に続き4件目で、市町村単位では全国最多の指定件数となった。10月7日に東京都内で開かれる全国温泉地サミットで指定状が交付される。
国民保養温泉地は、温泉法に基づき温泉の公共的な利用を増進するため、温泉利用の効果が十分期待され、健全な保養地として活用される温泉地を環境大臣が指定するもので、制度は1954(昭和29)年に始まった。現在全国77カ所、県内では蔵王(山形市)、銀山(尾花沢市)、碁点(村山市)、肘折(大蔵村)を含め7カ所が指定されている。温泉の効能や湧出量、自然環境、景観が保養地として適しているかなどの基準で選ばれている。
由良温泉は、地元由良地区の有志らによる1988(昭和63)年の掘削を機に開湯。源泉は地区内の民宿やホテルで活用している。由良海岸は「日本の渚百選」に選ばれ、県内有数の水揚げ量を誇る由良漁港、海洋釣り堀も整備された白山島などがあり、夕陽や海釣りの名所としても知られ、リゾート型温泉エリアとして県内外から多くの人が訪れている。
指定に向け由良温泉観光協会や市などが策定した計画には、温泉と海釣りとワーケーションを組み合わせた「釣りケーション」や漁業体験などのブルーツーリズム、SDGsを視野に入れた海洋資源の保護活動など、特徴的な取り組みや地元の特色を盛り込んだ。
国民保養温泉地の指定に由良温泉観光協会の石川博一会長は「国民保養温泉地の指定をきっかけに、観光誘客や新たな客層の広がりにつながることを期待している。地域一体で環境づくりと活性化に取り組んでいきたい」と話した。