2022年(令和4年) 10月6日(木)付紙面より
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酒田市は4日、いずれも市表彰条例に基づく特別功労表彰をANAホールディングス特別顧問を務める伊東信一郎氏(71)=東京都江東区亀戸九丁目=に、功労表彰を北庄内森林組合代表理事組合長など歴任し高橋治雄氏(81)=酒田市中野俣、酒田地区調理師会長を務めた故太田政宏氏(享年78)、日本海総合病院副院長の内村文昭氏(67)=同市大町、日本放送協会山形放送局(大泉謙局長)の3個人1団体に贈ると発表した。表彰式は11月2日午前10時から同市のベルナール酒田で行われる。
両表彰は、広く公共の福祉、市勢の発展に尽くして功労が顕著で市民の模範となる人を表彰するもの。このうち特別功労表彰は業績が特に卓越していたり、市外在住で酒田のイメージを高めた人などが対象。これまでに歌手の岸洋子氏(1988年度)、セイコーエプソン名誉相談役の中村恒也氏(95年度)、詩人の吉野弘氏(96年度)はじめ15人が受賞している。
産業振興功労で受けた伊東氏は全日本空輸、ANAホールディングスの代表取締役社長など歴任し、今年4月から現職。ANAが就航する庄内空港は市民の生活・経済活動に不可欠なインフラとなり、市の地場産品の販路拡大・観光プロモーションでも先導的に協力するなど、市における航空輸送の利便性向上、観光振興、水産振興の推進・発展に多大な貢献をした。
一方、高橋氏は林業振興功労。2014年に北庄内森林組合代表理事組合長に就任し、海岸砂防林で発生した松くい虫被害木の処理対策などに尽力した。森林経営管理法が制定された18年以降、率先してモデル事業に取り組んだ他、組合員の負担軽減にも力を注いだ。
故太田氏は産業振興功労。1974年、今も続く市内のレストラン「ル・ポットフー」の立ち上げに携わり、酒田の料理文化の発展に尽力。「食の都庄内」親善大使など務め、庄内産食材の素晴らしさを広くPRするとともに、後進の指導に力を尽くした。
内村氏は保健・衛生功労。1993年、当時の県立日本海病院放射線科医長に就任し、2014年から現職。放射線科医として診療・診断に携わる一方、肺がんの早期発見に向けた検診の重要性を広く地域住民に唱え、地区検診機関では技術指導にも精力的に取り組んだ。
観光・産業振興功労のNHK山形放送局は、市と連携して関連する多彩な番組制作・
イベントなど実施し、にぎわい創出、情報発信に寄与した。今春には国指定史跡「山居倉庫」を会場に、全国でも類を見ない「NHK文化祭」を開催し、人気を博した。
2022年(令和4年) 10月6日(木)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡第二中学校(土井浩貴校長、生徒403人)で4日、広島で原爆の被害を受けた「被爆ピアノ」による平和コンサートが開かれた。ピアノから流れる旋律に耳を傾けながら、生徒たちが戦争と平和について考えた。
同校は2001年から平和と命の大切に関する学習に取り組んでいる。また、県内の中学校では唯一修学旅行先に広島県を選んでおり、現地で2年生が被爆者の養護施設訪問や平和記念公園での合唱などを体験し、戦争と平和について理解を深めている。
こうした取り組みを踏まえ、近年は毎年のように被爆ピアノとともに全国を巡っている調律師の矢川光則さんを通じ、同校でコンサートを開催している。今回は鶴岡市でピアノ教室を開いている小野寺智子さん(43)がピアノ、酒田南高の非常勤講師の草刈円さん(43)がクラリネットをそれぞれ担当した。
初めに矢川さんが「このピアノは原爆の爆心地から2・6キロの民家で被爆したカズコさんのもの。15年ほど前に『戦争の悲しさを伝えるため役立てて』と自分に託してくれた。原爆資料の一つであり、ピアノ線を数本取り替えた程度でほぼ当時のまま」と講話した。
コンサートは小野寺さんのピアノソロ「星に願いを」(ハーライン)で幕開けし、独奏や合奏でバッハ「カンタータBWV156」やジャンジャン「キズガンドリー」など計8曲を披露した。2年生の阿部千華さん(14)は「被爆したピアノの音を聞きながら戦争の悲惨さを考えた。いま現実に起きているロシアのウクライナ侵攻も早く終わればいいと思う」と話していた。
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被爆ピアノ平和コンサートは、広島県出身の矢川さんが2001年に同県内で始めた。05年から全国を巡る活動を開始し、本県では2013年から小中高校などで毎年コンサートが行われている。今年は17日間かけて県内一円を回り、計30カ所で開催する。