2022年(令和4年) 10月21日(金)付紙面より
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酒井家庄内入部400年記念の鶴岡シルク特別企画展「ファンファーレ 扇の舞」の関係者向け内覧会が20日、展示会場の鶴岡市の鶴岡アートフォーラムで行われた。鶴岡シルクと関わりの深い日本を代表するテキスタイルデザイナー・須藤玲子さんのデザイン会社が、庄内の風物をモチーフに青・藍色を基調にデザインした、直径約2メートルの扇形の多様なテキスタイル(布)約100枚が展示されている。展示は鶴岡市主催で21日―11月6日に同館で行われ、入場無料。
今回の展示は、展示品だけでなく会場の空間全体を作品として表現する「インスタレーション」として企画された。空間デザインは、世界的な活躍で注目されている林登志也さんと、鶴岡市大部町出身の安藤北斗さん(40)によるデザインスタジオ「we+(ウィープラス)」(東京)が担った。
須藤さんデザインの扇の作品は、「末広がり」に通じる入部400年の祝賀の意味合いがあり、全体の色調は旧庄内藩主酒井家3代で初代藩主の酒井忠勝(ただかつ)公の肖像画に描かれた着衣の藍色のグラデーションから着想した。
コットンや蚕が吐き出す絹糸の「キビソ」で制作され、デザインのモチーフには「だだちゃ豆」「焼畑カブ」「稲穂」「鶴ケ岡城」、酒井家の家紋「丸に片喰(かたばみ)紋」などが取り入れられた。作品は鶴岡の染色職人と織物職人の手で仕上げられた。
展示空間はwe+によって「扇が風を受けて意志を持って舞うかのような空間」をイメージしてデザインされ、天井からつるされた一枚一枚の扇が工夫を凝らした空調の柔らかな風で、ゆったりと回転しながらそれぞれが舞う展示となっている。
内覧会で須藤さんは「見るだけでなくテキスタイルそのものを体験できるすてきな空間。多くの人から体感してほしい」、安藤さんは「故郷に恩返しができればと思い取り組んだ。入部400年を祝うファンファーレを象徴的に表すインスタレーションであり、扇が舞い踊る空間を体験し楽しんでもらえれば」と話した。
2022年(令和4年) 10月21日(金)付紙面より
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製材機械や機械器具卸売の鶴峰産業(鶴岡市大塚町、丸山利商社長)の出入り口に「ミニ産直」が登場した。障害がある人たちの取り組みを知ってもらおうと「就労継続支援もみの木」の障害者が栽培した季節の野菜を販売している。今月初めに店開きしたが「とても新鮮で品質がいい」と地域の人たちの間で評判だ。
もみの木では知的障害のある20?60代の男女19人が鶴岡市青龍寺の農場で野菜を作り、市内のスーパーで販売している。普段の作業は午前9時15分から午後3時まで。時間給を支払い、家に引きこもりがちな障害者の就労意欲の向上と社会参加を目指している。
「ミニ産直」をオープンしたのは今月4日。毎週水、木、金の3日間、収穫したキャベツやジャガイモ、ミニトマト、ネギ、ナスといった野菜をコンテナに入れて無人販売を始めた。値段は1袋100円から200円。好きな野菜を選び、コンテナの隣に置いた料金箱にお金を入れてもらう簡易的なシステムだ。
オープンしたころは「機械を扱っている会社に産直?」「入りづらい」と敬遠されていたが「安くて新鮮」と少しずつ地域の人たちの間で口コミが広まり、立ち寄る人たちも増えつつある。今のところ、露地とハウス栽培の野菜をうまく回転させて通年販売する予定。来月にはハクサイやブロッコリーが収穫期を迎えるという。
もみの木で障害者をサポートしている佐藤繁事業部長は「ハウスでスティックセニョールやアスパラ菜、ホウレンソウを作っているので冬期間でも、できるだけ品物を切らさないようにしたいと思う。産直販売を通じて、畑を耕したり雑草を取ったりして日頃から一生懸命働いている障害者の活動を応援してもらえればありがたい」と語る。
鶴峰産業の丸山社長は「自分たちが作った野菜を買ってもらった、と障害者のみんなが喜んでいると聞く。今後も地域の理解を得ながら農業と福祉の農福連携を進めていきたい」と話していた。
ミニ産直の営業時間は午前9時から午後5時まで。問い合わせはもみの木=電0235(64)8885=へ。
2022年(令和4年) 10月21日(金)付紙面より
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rikko(りっこ)さん
酒田市の観光施設「酒田夢の倶楽」に子どもや動物などの愛らしいキャラクターがデザインされたお土産品が並ぶ。同市出身・在住のイラストレーター・rikko(りっこ)さんが手掛けたもので、彼女の「ほっこりする絵柄」に“りっこファン”も増大中だ。
「子どもの頃から絵は大好きだった」と楽しそうに話すりっこさん。駒澤大卒業後、文房具やキャラクターデザインを扱う東京の会社に就職。パレットクラブスクールや同僚のデザイナーたちの仕事をそばで体験するなどの経験を積み、2006年から作家活動を開始した。「子どもが好きなものはどの時代も変わらないし、大切にしたい。自分の絵の原点の意味もあります」と子どもの頃から呼ばれていた「りっこ」を作家名に。べネッセコーポレーションのこどもちゃれんじに使われたイラストなど子ども向け雑誌・絵本などで主に活躍した。
10年に同市に帰郷。19年に同市在住の写真家と共に開いた2人展で作品が注目された。そうした縁で「酒田」をモチーフに何か作れないか、との話が持ち上がり、ハクチョウや北前船、山居倉庫など酒田市の象徴をかわいらしくデフォルメした「さかたのかわいい」を仕上げた。「酒田にはかわいいものがたくさんある。描きたいものを描けた手応えもあったし、周りの反応もすごく良かった」と振り返る。
その後、同市観光案内所の「酒田まちなかマップ」や酒田駅前交流拠点施設ミライニ内の市立中央図書館オープン記念のクリアファイルやトートバッグのイラスト、福祉施設でのワークショップのほか、自身が描き続けている「童謡シリーズ」も新作を増やしていくなど活動の幅を広げている。
今後の活動については「大好きな酒田のイラストをもっと増やしていきたい。イラストが縁になりいろいろな人とのつながりが生まれた。このつながりを大事にしながら子どもの絵本などを一生かけて描いていければ」と笑顔で夢を語った。
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両親と夫、娘(8)、息子(5)の6人家族。子育て真っ最中で「毎日がわちゃわちゃで戦いの日々」と苦笑い。39歳。