2024年(令和6年) 11月24日(日)付紙面より
ツイート
鶴岡市黒川の春日神社で23日、新嘗祭(にいなめさい)が行われ、500年以上にわたり地区住民によって守り伝えられてきた伝統芸能「黒川能」(国指定重要無形民俗文化財)が奉納上演された。また、新嘗祭に合わせた秋祭り「玄灯の夜」が23、24日の2日にわたって行われ、縁日やライブイベントなどが繰り広げられている。
新嘗祭は農作物の収穫に感謝するお祭り。この日は午前10時から同神社社殿で神事が行われた後、下座の能「龍田」と狂言「琵琶借」、上座の能「江口」が社殿の舞台で奉納上演された。
厳かな雰囲気の中、笛や鼓の音が舞台に響き、能太夫と演者たちが舞と謡を繰り広げた。舞台を囲んだ観客たちは幽玄の世界に目を奪われていた。
玄灯の夜初日の23日はあいにくの雨となったが、午前中から神社境内で縁日が開かれ、親子連れなどがお汁粉や玉こん、焼きそばなどの屋台を巡っていた。24日は午後3時から「玄灯の舞・くろかわ蝋燭(ろうそく)能」が同神社で行われ、同日夜は画家でアートプロデューサーの鈴木掌さんによるライブイベントが予定されている。
2024年(令和6年) 11月24日(日)付紙面より
ツイート
酒田市幸町一丁目の光の湊A棟ロビーに22日、高さ約5メートルのクリスマスツリーがお目見えした。一帯のにぎわい創出を目指す酒田駅前地区活性化協議会(同市、会長・白旗夏生月見社長、事務局・クリーンサービス)が企画したもので、ひと足早くクリスマスシーズンの訪れを告げている。
JR酒田駅前一帯の活性化・にぎわい創出につなげようと、同協議会が「酒田駅前光の湊クリスマスイルミネーション」として毎年この時期に実施している。
同日夕に行われた点灯式では、市民が見守る中、光の湊に入る酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」の運営に携わっている酒田光陵高校(藤田雅彦校長)の音楽部吹奏楽班が山下達郎さんの「クリスマス・イブ」を演奏。カウントダウンに合わせ、LEDが五色のきらめきを発し始めた。引き続きハンドベルで「戦場のメリークリスマス」「そりすべり」などを披露。訪れた市民は聴き入った後、ツリーを背景に盛んに写真を撮っていた。クリスマスツリーは来月25日(水)まで連日点灯する。
2024年(令和6年) 11月24日(日)付紙面より
ツイート
田園調布学園(東京都世田谷区、清水豊校長)の中等部2年生236人が、22日まで3泊4日の日程で酒田市を訪れ、秋野菜の収穫などの農業体験や鳥海山・飛島ジオパークの自然体験を通して見識を深めた。
首都圏の若者に地方の農業や自然、文化への理解関心を深めてもらうとともに、交流拡大、農産物のPRを図ることを目的に、地元農業者などで組織する「酒田ファームステイ実行委員会」(土田治夫実行委員長)の主催。本年度から暑い季節を避けた秋に、また生徒の人数が多いことなどから、農業体験と自然体験に分かれて実施した。
2日目の20日、農業体験クラスの生徒たちは3カ所に分かれて収穫体験。このうち同市浜中で大根や米、イチゴなどの栽培を行っているHi―Farm(ハイファーム、高橋身依代表)の約30アールの大根畑では、生徒39人が漬物用品種「干し理想」の収穫体験を行った。
高橋代表はじめスタッフの指導で生徒たちは長さ50―60センチの大根を手で掘り出し、わらを使って2本を一組にする結束作業に挑戦。途中尻もちをついたり虫に驚いたりしながらも笑顔で土に触れ、広々とした畑に楽しげな笑い声が響いていた。
1時間半ほどの作業で2トントラック2台分ほどの大根を収穫。体験した古川愛莉(あいり)さん(14)は「山形県に来るのも農業体験も初めて。見渡す限りの畑の広さに驚いた。大根が割れないように抜く力加減や中腰姿勢が大変で、改めて農業の大変さを身をもって知った。友達と大きさ比べをしたり、変わった形の大根を見つけるのが楽しかった」と話した。
数年前から同校のファームステイを受け入れているという高橋代表は「反応が新鮮で、楽しそうに作業しているのが伝わってきてうれしい。体験をきっかけに農業に興味を持ってくれる生徒がいたら」と話した。
2024年(令和6年) 11月24日(日)付紙面より
ツイート
鶴岡市加茂水族館のレストラン「魚匠ダイニング沖海月」(須田剛史料理長)は、今が産卵期で脂が乗っておいしいボラとカラスミをふんだんに使った「ボラ高級御膳」を提供している。
身も固くおいしくないと思われているため市場にも出回らず、漁師にとっては“厄介者”の存在のボラ。しかしボラの卵巣から作るカラスミはお節料理に欠かせない高級食材で、関西では師走に入るとカラスミを仕込む風習があるという。また、水面に勢いよく飛び跳ね、出世魚で縁起の良い魚でもある。
須田料理長は4年ほど前から、庄内浜でも取れるボラからカラスミを作ろうと、地元漁師の協力で仕込みをし、製品化にこぎつけた。きっかけは2022年の酒井家庄内入部400年の記念になる料理を考案したこと。織田信長から“ごちそう奉行”と名付けられた酒井家初代・忠次公がカラスミを信長に供していた文献が残っていることから、地元で取れるボラで作ったら名物になるのではと試行錯誤を重ねた。昨年は春に、春ボラを使った御膳を発表し、今回が2度目のボラ料理の提供となる。
11月から12月にかけて漁獲が多くなるボラ。庄内で取れたボラと料理長自身が作ったカラスミを材料にすることから手頃な価格で味わえる“高級”な一品。イメージとは違い、柔らかくておいしい白身をお造りにしてカラスミを添えた「ボラと唐墨の親子造り」をはじめ、なめろう、南蛮漬け、茶わん蒸し、握りずし、カラスミをすりおろして上に載せたご飯やそば、ボラのアラ汁などに松ケ岡産の柿をトッピングしたソフトクリームがデザートに付いて2000円(税込み)という破格値で提供する。
須田料理長は「今年のボラは魚体も大きく、魚卵もたっぷり入っている。地元で取れ、地元の料理人が作ったことで味わえる限定料理を楽しんでほしい」と話している。
提供は12月いっぱいを予定している。1日5食限定。予約も受け付けている。申し込み・問い合わせは沖海月=電0235(64)8356=へ。