2013年(平成25年) 11月24日(日)付紙面より
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鶴岡市黒川の春日神社で23日、農作物の収穫に感謝する新嘗祭が行われた。500年以上にわたり地元住民たちから受け継がれてきた伝統の黒川能(国指定重要無形民俗文化財)が奉納上演され、県内外から訪れた能楽ファンの目を楽しませた。
黒川能が同神社で奉納上演されるのは新嘗祭の他、2月の王祇祭、3月の祈年祭、5月の例大祭の年4回。この日は女児6人による巫女舞や玉串奉納などの神事に続き、神社内の舞台で下座が能「三輪(みわ)と狂言「蟹山伏(かにやまぶし)」、上座が能「大蛇(おろち)」の計3番を上演した。
笛や鼓の音と謡の声が響く中、演者たちが厳かに能舞を繰り広げた。訪れた大勢の観客たちは幽玄の世界に引き込まれ、静かに舞台に見入り、アマチュアカメラマンなどが演者の姿を写真に収めていた。
今回は櫛引観光協会と王祇会館の共催で「新嘗祭鑑賞と農家の宿への宿泊」ツアーが企画され、内陸や横浜市の参加者が舞台を見守り、黒川地区の農家に宿泊して郷土料理の凍み豆腐などを味わった。