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2019年(令和1年) 10月29日(火)付紙面より

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鶴岡・日吉商店街 老舗おもちゃ店 「いちかわ」100年の歴史に幕

 鶴岡市日吉町のサンロード日吉商店街の老舗おもちゃ店「いちかわ」(市川輝雄社長)は今月末で閉店し、創業100年の歴史に幕を下ろす。市川社長は「地域の子どもたちに喜んでもらえれば」と、在庫品の玩具などを市内の保育園や学童保育所などに無償提供している。

 市川社長は現在90歳。大正時代に創業した父忠雄さんと共に戦後の20歳のころから商い、70年間に渡り玩具を通じて地域の子どもたちと触れ合ってきた。昭和から平成の繁忙期には日吉商店街の本店のほか、鶴岡市の庄交モールに「アンデルセン」、酒田市の酒田ジャスコに「ピッコロ」など量販店にも店舗を構えた。本店の3階建てビルには玩具や雛壇飾りが所狭しに並び、クリスマスシーズンにはプレゼントを求める親子連れ、お年玉を手にした子どもたち、孫に雛人形や五月人形を選ぶ祖父母らで店内はにぎわったが、時代の変遷とともに遊び方も大きく変化していった。文具なども販売し店を守ってきたが、自身も高齢となり、創業100年の節目を機に閉店を決めた。

 今月末まで1階に在庫を集めて並べ、在庫一掃の“店開き”をしており、声を掛けた保育園や学童施設のうち15施設ほどが訪れている。

 25日に訪れた保育園や学童保育所のスタッフたちは店内に並ぶメンコや水鉄砲、ボートゲームなど昭和レトロなおもちゃのほか、パーティーグッズなどを品定め。「子どもたちはメンコを初めて見るのでは。昔遊びを教えながら楽しみたい」、「これから迎えるクリスマスイベントで使いたいグッズがうれしい」、「懐かしいおもちゃもあり、楽しくて時間を忘れてしまう」などと話しながら段ボール箱や袋いっぱいにおもちゃを詰め込んでいた。

 法被姿で接客をする市川社長は「『よいこの太陽』をキャッチフレーズにしてきた。店に来た子どもたちの笑顔が思い浮かぶ。地域と子どもたちに感謝しながら店じまいしたい」とにこやかに語った。

おもちゃの在庫を手渡す市川社長(右)
おもちゃの在庫を手渡す市川社長(右)


2019年(令和1年) 10月29日(火)付紙面より

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雄能、正能先生に感謝伝える 荘内館OB集い墓前祭

 東京都内にあった庄内地域出身者の学生寮「荘内館」の初代寄宿舎監督を務めた佐藤雄能氏(1865―1939年)の八十年忌と、その次男で2代目監督を務めた佐藤正能氏(1901―79年)の四十年忌の墓前祭が27日、両氏の実家がある鶴岡市下山添の下山添公民館などで行われた。正能氏の薫陶を受けた「荘内館OB」らが地元や東京から集い、庄内出身者の育英事業に尽くし、若者たちの人格形成に大きな影響を与えた両氏をしのび、感謝の気持ちを伝えた。

 荘内館は、明治10年代に有志で結成した「荘内同郷会」が中心となり寄宿舎設置による育英事業を企画したのが始まりで、1896(明治29)年に設立された。雄能氏は推されて初代監督に就任し、官吏として奉職する傍ら在京学生と起居を共にしつつ、終生にわたって同郷出身の若者たちの育英事業に精魂を傾けた。また正能氏は、雄能氏が亡くなった1939(昭和14)年に監督を引き継ぎ、72(同47)年まで担った。荘内館は2008年に県育英会と合併、やまがた育英会として都内2カ所で学生寮運営を継続している。

 両氏の墓前祭は、荘内館OBでつくる荘内館館友会鶴岡・山形地区(菅原直香会長)が開き、佐藤家の親族を含め約40人が参列。下山添公民館の墓前祭は、佐藤家親族で荘内館OBでもある下山添八幡神社の佐藤信弘宮司を斎主に執り行われ、雄能、正能両氏の遺影を配置した祭壇に参列者が玉串をささげ、献水を行った。近くにある墓所を訪れ、墓前に花を手向けて追悼した後、同市の新茶屋で直会を開き、両氏をしのんだ。

 正能氏の監督時代に入館した菅原会長(74)は「正能先生は、ご自身の姿を見せて無言でそれとなく教えるといった方だった。雄能先生とともに親子で庄内出身者の育英事業のために長年尽くしていただき、誰もが『ありがとうございました』という感謝の念でいっぱい」と話した

下山添公民館で行われた雄能、正能両氏の墓前祭
下山添公民館で行われた雄能、正能両氏の墓前祭

荘内館OBらが集い墓前で感謝の念を伝えた
荘内館OBらが集い墓前で感謝の念を伝えた



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