2019年(令和1年) 10月30日(水)付紙面より
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10月から始まった「新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン(DC)」の誘客策がエリア各地で展開される中、6月の本県沖地震や、10月の令和元年台風第19号の影響により、鶴岡市のあつみ温泉が集客に苦戦している。29日、あつみ観光協会主催の同温泉DC企画体験発表会が「高見屋別邸 久遠」であり、関係者が12月末までのDC期間中の巻き返しに意気込んだ。
同DCは「日本海美食旅(日本海ガストロノミー)」が全体のメーンキャッチフレーズ。鶴岡市では「出羽三山詣での精進おとし」をコンセプトに出羽三山参拝と温泉、食をテーマにした誘客策を企画。あつみ、湯田川、湯野浜、由良の計4温泉で特色を生かした宿泊プランを提供する。
昨年のプレDCから同様の宿泊プランを提供して機運醸成を図ってきたが、6月18日に最大震度6度強を観測する地震が発生。震源近くのあつみ温泉の被害が大きく、温泉給湯が一時停止し宿泊施設は営業停止に追い込まれた。7月1日には同温泉全宿泊施設で営業再開を果たすも、同観光協会によると温泉街全体の客数は7―8月が前年比20%減。
9月には風評も払しょくされ回復傾向だったというが、10月に入りDC本番を迎えたところで台風19号。1週間ほど前からの予報で天候を危ぶんだ宿泊客からのキャンセルが続出。10月は20%減の見込みという。
発表会には同DC推進協議会県推進部長の皆川治鶴岡市長をはじめ、あつみ温泉を中心に両エリアの観光関係者や報道などから合わせて30人が出席。久遠で提供中の旬御膳と地元限定清酒摩耶山の試食をはじめ、温泉街12店舗で地酒試飲などお得なサービスが受けられる「浴衣めぐり」といった体験企画が説明された。
若松邦彦あつみ観光協会長は「あつみ温泉ではもともと10年以上前から冬季間の誘客策として『旬御膳』を続けており、今回のDCで取り組みが結実するように思っている。地震、台風の影響は大きいが、12月末までを勝負にあつみ温泉の元気な姿を発信していくしかない」と意気込みを語り、「温海かぶもちょうど旬。温海でしか味わえない清酒摩耶山は、2018年の世界最大規模の酒類品評会IWCで酒蔵最高賞を受賞した東北銘醸が醸造。海、山、里の幸を味わい、美肌や神経痛といった体の内外に効くあつみの湯をぜひ堪能してもらいたい」とPRした。
同温泉の各宿泊施設では、本県沖地震を支援する国の宿泊料金補助事業で1人当たり宿泊費3000円を割引したプランも用意している。DC企画の問い合わせは同観光協会=電0235(43)3547=へ。