2019年(令和1年) 11月6日(水)付紙面より
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6月18日に発生した本県沖地震において、鶴岡市内の自主防災組織の活動実態調査の速報値がこのたびまとまった。避難までの実態からは「呼び掛けても避難をしない人」の対応への苦慮をはじめ、一次避難所での備蓄物資不足などの課題が見られた。
自主防災組織にコミュニティセンター、自治振興会などを加えた495組織を対象に、市や山形、岩手両大などがアンケート調査を実施。自主防災組織の対応の有無や避難所開設などについて内陸、沿岸別に調査。半数の241組織から回収した。
速報値では、今回の地震で被害の大きかった沿岸において、自主防災組織での地震発生後の住民への避難呼び掛けに伴う困り事などの項目では「呼び掛けても避難をしない人がいた」が69・6%と最多。避難しなかった理由は「地震情報などから判断」が62・5%と最多、次いで「体調障害により自宅から動けない」が56・3%、「地震の揺れから判断」が43・8%だった。高齢者や要支援者の避難の際には、沿岸部の70%の組織で「説得に時間を要した」と回答、避難時間の遅れにも影響したという。また、沿岸部の避難所開設・運営での困り事では、「備蓄や資機材の不足」が42・9%と最多。避難者からは毛布や防寒用具、照明といった物資の配布要請が相次いだという。
10月30日には、同市の出羽庄内国際村で市主催の自主防災組織連絡協議会研修会が開かれ、関係者約250人が参加し、実態調査報告を通して地震発生時の対応を検討。講師を務めた山形大大学院教育実践研究科の村山良之教授(防災教育)らが調査結果を報告。村山教授らは、「同市沿岸部での地震発生を想定した場合、津波到達までは最短7分。気象庁の津波警報発表を待ってからの避難では時間的に足りない。要支援者への対応を含め、自主避難が円滑に行われるよう、日頃から働き掛けておく必要がある」などとした。
自主防災組織は各地域の町内会などによる任意団体。市内では現在、鶴岡市6地域462組織。避難や初期消火訓練の実施、防災研修会など日頃の活動も各組織で温度差があるのが課題という。
2019年(令和1年) 11月6日(水)付紙面より
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河川流域に甚大な被害をもたらした台風19、21号の河川氾濫を受け、激甚化している豪雨災害への備えや対応を学んでもらおうと、鶴岡市上名川の国土交通省東北地方整備局月山ダム管理所は今月から新たに「防災講座」を開設した。赤川流域の各地域のリスクを体験的に知ってもらう内容で、ダム見学と合わせた受講を呼び掛けている。また、町内会や学区など住民防災研修の出前講座も対応していくという。
講座は1、20分 2、30分 3、60分の3コース。1では雨量の測り方や水の重み、自分が住んでいる地域のリスクを体験的に知ってもらう。2は赤川水系での過去の洪水との戦いや近年の豪雨災害について、写真や資料を用いて振り返る。3は一般社団法人河川情報センターで作成したツール「逃げキッド」を使い、身の回りの河川氾濫のリスクを知り、台風発生情報から避難勧告、氾濫発生までに安全に避難するための“マイ・タイムライン”を作成し災害に備えてもらう内容。
洪水ハザードマップや浸水想定区域で浸水深や浸水継続時間を知り、持病薬や避難支援者の有無などの家庭状況、避難先をチェックし、備えを考え、いつから行動するかのマイ・タイムラインをつくる。
月山ダム管理所では「自分の身は自分で守る意識を高めてもらいたい。流域の特性について理解を深め、過度に恐れず正しく理解し、備える機会にしてもらえれば」と話している。防災講座、ダム見学ともに無料。申し込み、問い合わせは月山ダム地域防災センター=電0235(54)6711=へ。
赤川流域の特性 南北方向に細長い形状を有し、流域上流部の諸支川の延長は短く急勾配のため、流れは赤川本川と梵字川の合流点に位置する鶴岡市熊出地区に集中する。中下流部は低平地形の庄内平野が広がり、勾配は緩やかで、いったん洪水が氾濫すると氾濫が拡大してしまう拡散型の氾濫特性がある。昭和以降では1940(昭和15)年7月に家屋1266戸が浸水した未曽有の洪水をはじめ、53(同28)年8月、69年(同44)年8月、71年(同46)年7月、87(同62)年8月、90(平成2)年6月に大規模な洪水が発生している。