2022年(令和4年) 4月12日(火)付紙面より
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鶴岡市湯田川のJA鶴岡湯田川催芽場で、温泉の廃湯に種もみを浸して発芽を促す伝統の芽出し作業が最盛期を迎えている。
温泉を活用した芽出し作業は1848(嘉永元)年、地元農家が温泉を農業にも生かそうと始めたのが起源とされる。種もみを入れた袋を32度の湯に12時間浸し、水槽の縁に敷いた木材の上に並べてむしろで覆い、さらに12時間ほど蒸す。専用機器や自宅の浴槽を使う芽出し作業に比べて農家の負担が少なく、均等に発芽するという。今年は庄内一円の農家約900件から「はえぬき」「つや姫」「雪若丸」「コシヒカリ」など計242トンが運び込まれる。
作業は今月1日から始まり、作業員が午前5時から一日約25トンを漬け込んでいる。ピークを迎えた9日には15人が分担し、漬け込みや蒸す作業に追われていた。
JA鶴岡の担当者は「今年は大雪が不安だったが、雪解けが一気に進んでくれた。気温に応じて蒸す時間を調整しながら良い状態に仕上げている」と話していた。湯田川温泉での芽出し作業は今月末まで行われる。