2022年(令和4年) 4月15日(金)付紙面より
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鶴岡市加茂地区自治振興会(上林達哉会長)は、同地区の歴史や観光スポットなどをまとめたまち歩きガイドブック「北前船寄港地 加茂」を刊行した。同振興会が募集するまち歩きガイドに配り、観光客誘致や地域の活性化を図っていく。
市の「鶴岡地域まちづくり未来事業」の一環で、同振興会が2017年に加茂グランドデザイン検討推進委員会を設立。「自然」「環境」「産業」「教育」「歴史」の5チームに分かれ、地域の課題解決に取り組んでいる。
ガイドブックは、歴史チームの6人が昨年9月から約半年かけて制作。北前船の寄港地として栄えた加茂地区に今も残る、歴史的な街並みや伝統文化にスポットを当てた。
項目は「港・海」「寺社」「偉人」「民俗芸能」など全10項目。▽奈良時代、石川県の能登からの移住者によって加茂が開かれたことがうかがえる白山比め神社▽昭和20年代まで毎年1月11日の船魂祝(ふなだまいわい)に大漁と海上安全を願って唄い舞われていた加茂泊町大黒舞▽元廻船問屋名家として活躍した秋野、石名坂、長澤、尾形4家―などを紹介している。
随所に載せた写真は、遊郭での遊女たちの祭りの様子や、1879年に春日神社に航海の安全を祈願して奉納された船絵馬、北前船が盛んに入港していた頃の港の写真などを取り上げている。
A5判全51ページで50部発行。一般のツアーや小学校の課外授業などで加茂の魅力を紹介するまち歩きガイドの養成に活用していく。
同振興会の佐藤祥子事務局長は「観光客へのPRはもちろん、地元の人が加茂に生まれ育ったことを誇らしく思ってほしい。ガイドを増やし、加茂ファンを増やしていきたい」と話している。
まち歩きガイドの申し込みは、加茂コミュニティセンター=電0235(33)3023=へ。
2022年(令和4年) 4月15日(金)付紙面より
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旧庄内藩主酒井家の第3代・酒井忠勝(ただかつ)公が1622(元和8)年に庄内に入部し、今年で400年の節目を迎え、庄内全域で展開される記念事業の開始式が14日、鶴岡市の致道博物館で行われた。同館ではこの日から、記念特別展の第1部「徳川四天王筆頭 酒井忠次(ただつぐ)」が始まり、酒井家18代当主の酒井忠久致道博物館長は「記念事業に関わる全ての皆さまへの感謝と、事業を通じて得られるたくさんの交流が庄内地域の未来に生かされることを期待する」とあいさつした。
酒井家は入部後、一度も転封がなく明治維新まで約250年間庄内を治め、明治維新後も変わらずに庄内に居住。こうした例は酒井家のほかは、旧柳川藩(福岡県)の立花家だけという。
記念事業は、先人たちが築き上げてきた庄内の歴史・精神・価値を学んで地域内外に発信しようと、鶴岡市を中心に庄内全5市町などでつくる実行委員会(委員長・皆川治鶴岡市長)が実施。民間でも記念の各種事業が企画されている。
開始式には酒井忠久、天美夫妻、酒井家19代後嗣の忠順さんの酒井家関係者や実行委員ら約40人が出席。実行委を代表して皆川市長が「庄内全体の官民挙げて祝う催しや行事を通じ、郷土愛と誇りを次代につなぎ、地域の魅力を発信していく」とあいさつ。忠久館長は「父の忠明(ただあきら)が生前、400年の節目のことを口にすることがあった。この地域の柱の一つとなる歴史がさまざまな事業として伝えられることをきっとうれしく見守ってくれると思う」と述べ酒井家初代・忠次公から15代忠篤(ただずみ)公までの事績をまとめた歴史書を書籍化した「酒井家世紀」を実行委に寄贈。荘内藩甲冑(かっちゅう)研究会による演武に続き、出席者が記念事業の成功を願い勝ちどきを挙げた。
致道博物館の記念特別展では、忠次公の甲冑や書状、武勲を挙げた「三方ヶ原の戦い」「長篠の戦い」に関する史料など約60点を展示。忠次公が織田信長、家康から拝領した国宝の太刀「真光」「信房作」(いずれも致道博物館所蔵)を展示したほか、酒井家の菩提寺・大督寺(鶴岡市)に安置されている忠次公の妻・碓井(うすい)姫の座像が初公開されている。展示は5月29日まで。
実行委による記念事業で庄内各地の文化施設26館連携による「スタンプラリー」も、この日からスタート。入部400年記念式典は10月8日に荘銀タクト鶴岡で開催し、徳川宗家・徳川四天王当主を招いたシンポジウムなどが予定されている。