2022年(令和4年) 4月20日(水)付紙面より
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県外から酒田市と鶴岡市へ移住(Iターン、Uターン)する人が増えている。両市の担当課によると、コロナ禍による静かな地方ブームやリモートワークが影響しているのか、微増しているという。こうした中で首都圏と庄内を行き来する「2拠点型移住」や数年後の定住を見据えた「段階型移住」という新たなスタイルも見えてきた。
酒田市地域共生課によると、窓口相談を通して把握している酒田市への移住者数は2017年度が26人、18年度が34人、19年度が77人、20年度は87人で年々増加している。市は15年度に移住相談窓口を開設。専任コーディネーターと移住相談員をそれぞれ1人ずつ配置し、酒田市へ移り住みたい人たちをサポートしている。今月中にも千石町一丁目の旧消防本署跡地約2300平方メートルに市と民間が連携して移住者向け住宅の建設に入り年内に1K―2LDKの賃貸住宅18戸が完成する予定だ。
移住者が増えていることについて同課担当者は「リモートワークによる移住者が微増していることも確かだが、相談窓口を開設した効果が大きい。最近の傾向として数年かけて段階的に定住を考えている相談者も見受けられるようになってきた」と話す。
鶴岡市地域振興課が窓口相談を通して把握している鶴岡市の移住者(単身者、家族の場合は世帯主をカウント)は、2016年度が22人、17年度が39人、18年度が30人、19年度が51人、20年度が68人。酒田市と同じように年々増える傾向にある。鶴岡東工業団地や鶴岡サイエンスパークの企業社員による「Iターン」などの動きが見られるという。
市は県外に住む人が旅館やホテルを利用してテレワークをした際に宿泊料の一部を助成する「お試しテレワーク支援補助金」を導入。これまで4件の利用があった。首都圏の大学などを卒業後、35歳まで鶴岡へUターンした場合、最大約200万円の奨学金返済を市が負担する「つるおかエール奨学金返済支援制度」も前年度から始まり94人の応募があった。担当の市政策企画課は、若者のUターンを促す取り組みの一つとして新年度も継続する。
市地域振興課は「移住者の数は相談窓口に来た人に限ったことなので実際はもっと多いと思う。新たな生活スタイルなのか首都圏と鶴岡の2つを拠点にして行き来する動きも見受けられる。今後も移住者の要望に極力応えられるようサポートしていきたい」と話している。
青森からIターン鶴岡でのんびりと夫婦でセカンドライフ
青森県立保健大学(青森市)を定年退職し2019年に鶴岡市へIターン移住した出雲祐二さん(68)=東京都出身=と啓子さん(64)=奈良県出身=夫妻は、市地域振興課から紹介を受けた長者町の一軒家を借りて住んでいる。移住した理由は▽比較的に居住費が安価であること▽城下町で落ち着いた雰囲気の街並みであるところ―を挙げる。
定住して3年目となる出雲さんは「好きな小説家・藤沢周平の出身地であることも選んだ理由の一つ。鶴岡の人柄はとてもいいし、今はのんびりとした中でセカンドライフを楽しんでいる。定期的に移住者同士の集まりがあるところもいいですね。鶴岡に来て良かったと思ってます」と語った。