2023年(令和5年) 8月2日(水)付紙面より
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8月19日(土)に鶴岡市の赤川河川敷で行われる第30回赤川花火記念大会の報告会・激励会が31日、同市のグランドエル・サンで開かれた。大会開催まで残り20日となり、実行委員会メンバーが「多くの人に感動と笑顔を届ける花火大会にしたい」と決意を新たにした。
8月1日に会場の設営準備が始まり、花火大会までのカウントダウンが始まったことから、大会運営への協力者へ今回の新たな試みや方向性を伝えようと開催。実行委員や来賓など40人余りが出席した。初めに大会会長の伊藤暁生鶴岡青年会議所理事長が「当日は大勢の花火客で会場はにぎわうと予想される。安全かつ感動を呼ぶ大会のため、今後も皆さんのご指導、ご支援を」とあいさつした。
実行委員会の白幡徳明委員長が委員会メンバーを紹介した後、大会概要について説明。白幡委員長は「今回は節目の大会。恒例の花火競技会は行わず、観客に楽しんでもらうことを第一とする。過去最大規模の予算で、昨年に引き続き全席指定としたチケットは4月の販売開始時に即日完売となった。観客総数は5万人となる」と述べた。
大会当日のスケジュールは、午後4時に入場開始で同6時50分から開会セレモニー。同7時15分から打ち上げ開始となる。同9時に終了予定。
プログラムは本県をはじめ東北や関東、東海など全国各地の花火師による割物花火やスターマインなどが打ち上げられる。特別プログラムは、1967年10月の放送開始から今年で55周年を迎える特撮ヒーロー「ウルトラセブン」とのコラボレーション。北日本花火興業(秋田県)がウルトラセブンと赤川花火大会双方の節目を記念したミュージックスターマインを披露する。
このほかの企画は、協賛の大手企業によるうちわや飲料の配布(いずれも数に限りがあるため先着順)や、キッチンカーや露店等による飲食販売ブースを会場内に3カ所設置する。また、旅行業者のWILLER(ウィラー)のレストランバス内に特別観覧席を置く。レストランでは地酒や鶴岡産ワイン、漬物などを楽しめる。NTT東日本の協力でドローンによる空撮映像を記録し、今後のプロモーションに使用する。
大会当日、会場周辺の国道112号や三川橋付近の国道345号、県道47号(羽黒街道)などで、正午から午後10時まで交通規制が行われる。公式の駐車場やシャトルバスの運行時間、発着場所などはチケット購入者へ届く大会パンフレットに詳細が記されている。
暑さ対策として観客へ水分補給の呼び掛けを行うほか、体調不良者が出た場合は休憩できるよう冷房付きのプレハブを用意する。また、鶴岡地区医師会の協力を得て当日は会場内に医師と看護師が駐在する。白幡委員長は「暑さ対策はぎりぎりまで強化の手段を検討したい」と話している。
鶴岡青年会議所OGでもある加藤鮎子衆院議員など来賓による激励の後、最後に実行委員の加藤大貴大会総括が「赤川花火大会は今年で30回の節目を迎えた。観客に喜んでもらえる企画と安心安全な大会運営にする」と大会宣言を行った。
2023年(令和5年) 8月2日(水)付紙面より
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鶴岡市山王町の荘空館空手道場(中村秀男館長)の暑中稽古が30日、同市の羽黒山頂で行われた。道場の伝統の行事に指導者と小中学生の門下生が参加し、子どもたちが杉木立の中で元気いっぱいの大きな気合の声を響かせた。
自然の中で心身を鍛えようと、1月に同市の湯野浜海岸で行う寒中稽古とともに行っており、暑中稽古は40年ほど前から続いている。コロナ禍もあって、気合を発する暑中稽古は4年ぶり。今回は10人が参加した。
この日は、午前6時半に羽黒山随神門を出発し2446段の石段を登って足腰を鍛えた後、山頂の広場で突きや蹴りなど休憩と水分補給を挟みながら約1時間、形の基本と組手を稽古。保護者が見守る中、門下生たちは「セイッ、セイッ」と気合の声を響かせ暑さを吹き飛ばし稽古に励んでいた。
父親の空手の姿にあこがれて小学1年から道場に通う鶴岡一中1年の本間伶さん(13)は「石段登りの後で大変だったけど、みんなで久しぶりに気合の声を出して稽古ができて良かった。今年は県大会でライバルに勝ちたい」と汗を光らせながら話した。
2023年(令和5年) 8月2日(水)付紙面より
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難しい問題だ。地球温暖化とエネルギー問題を考えれば推進に傾く。一方、景観や野生動物の生態系などを考えれば慎重にならざるを得ない。風力発電計画では、相いれない意見で分かれることが少なくない。鶴岡市と遊佐町で風力発電導入を巡って揺れ動いている。推進と慎重のどちらの言い分にも「道理」がある。一般の人も無関心ではいられない。
鶴岡市加茂地区での計画に、市は事業者に中止を申し入れた。住民は「頭越しの申し入れ」に反発したが、皆川治市長は住民説明会で中止申し入れは撤回しないと強調した。遊佐沖での洋上風力発電計画では、住民が反対署名を町に提出した一方で、計画の調査や事務作業も進んでいる。
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鶴岡市の風力発電計画は、東京の事業者が加茂地区南側の山中に高さ140~180メートルの風車を最大8基建設する。ところが、計画地北東側には国際的に重要な湿地を保全する「ラムサール条約」登録地の大山上池・下池があるとして、皆川市長は今年2月、事業者に計画の中止を申し入れた。「地域の活性化につながる」と期待を抱いていた地元には、市の中止申し入れは「寝耳に水」だった。
遊佐町沖の洋上風力発電計画は、9月ごろには国の促進区域の指定を得、年末から年始にかけて、事業者公募が予定されている。町側は「風車が立ち並ぶ景観はいいと感じ、事業推進を望む声もある」とする。しかし「山形県鳥海山沖の巨大風車はいらない有志の会」が先ごろ(1)超低周波の住民への影響(2)景観を損なう―などを理由に、計画反対の署名簿を町に提出した。今後、影響を分かりやすく説明するチラシを町民に配布する予定という。
環境問題などが関係する開発計画には、さまざまな意見が出るのは自然とも言える。計画に難色を示す人々も、地球温暖化対策とエネルギー問題を考えれば再生可能エネルギーの必要性は理解していると思われる。しかし、地元が宝としている景観や生態系に芳しくない影響が出るのではないかとの不安を消すことはできない。
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皆川市長は先ごろの住民説明会で「計画地がラムサール条約登録湿地に近接し、大規模施設の建設は国際的な大問題になる」と説明した。専門家の意見を聞いた上、政治判断で中止を申し入れたとしても、先に住民に説明して理解を得るのが、行政が踏むべき手順ではなかったか。それをしなかったことで、住民の態度を硬化させた。
「景観と生態系」を守ることと「脱炭素に向けた再エネ確保」。双方とも目指すところは、将来の世代にいい環境を残したいということにほかならない。鶴岡と遊佐の風力発電計画は、その両極に挟まれて揺れているが、行政と事業者を含め、最善の接点を見いだす努力をしなければならないことは確かであろう。