2023年(令和5年) 8月5日(土)付紙面より
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広島(6日)と長崎(9日)に原爆が投下されてから78年。非人道的な核兵器は地球上に無用の物。「核兵器禁止条約」は2021年、国連で多数の国の賛成で発効したが、被爆国の日本は同条約を批准していない。一時期、核保有国間で核軍縮を話しあったが、今は核増強へと逆戻りしている。世界の安全と平和のため、核廃絶を訴え続けなければならない。
5月、広島で先進7カ国首脳会議(G7)が開かれた。岸田文雄首相の出身地であり、首脳宣言に「核廃絶」が盛り込まれるとの期待感は、「核兵器のない世界に向けて取り組む」方針でとどまった。日本は核保有国と非核保有国の「橋渡し役」になることを掲げているが道は遠い。
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今、世界の核保有国はロシア、米国、中国、フランス、英国、パキスタン、インド、イスラエル、北朝鮮。保有する核弾頭数を合わせれば1万2500発余。「核には核で」と国家間の対立がエスカレートした。核兵器の使用は地球の破滅につながるかもしれないのに、ウクライナ侵略を続けるロシアは使用すると威嚇している。北朝鮮は米国に届こうという弾道ミサイルなどを頻繁に発射して脅威をあおっている。世界の安全と平和のため、身勝手は許されない。
広島の原爆を強烈な印象で受けたのは小学生の時、学校で見た紙芝居で。赤や黒で描かれた地獄絵のような惨状が記憶から消えない。今、鶴岡市の洋画家・三浦恒祺さんが、致道博物館で「原爆の形象」展を開いている。親の転勤で広島に住んでいた際被爆した。鶴岡に帰郷後、核廃絶を訴える作品を描き続け、絵は原爆の破壊力と恐怖心を表現するため赤や黒を多く使っている。
核を用いた原子力発電の安全神話は、東日本大震災の東京電力福島第一原発事故で崩れた。被災地は表向きは復興しつつに見えるが、避難して古里を離れた人が戻ってこない。政府が安全だとして地域ごとに避難解除しても、家々が点在しているようでは生活を復興させることはできない。被災地をそのような環境から抜け出せないようにしているのは、目に見えない放射線への恐怖があるからだ。
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日本には原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)があり、処分に困っている。欧州では脱原発に踏み切った国もあるが、日本では再稼働した原発もある。「核の平和利用」にも危険が潜んでいるのに、日本は核と向き合い続けなければならない。
オーストリアで、核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委員会が開会した。NPT体制の維持による平和な国際社会の再構築が話し合われる。核廃絶には保有国すべての足並みがそろわなければならない。現状ではその道のりはまだ遠いが、歩みを止めることなく実現してもらいたい。広島平和記念日に思い巡るつれづれである。
2023年(令和5年) 8月5日(土)付紙面より
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鶴岡信用金庫(佐藤祐司理事長)と西川町は1日、出羽三山を中心とした観光振興に関する包括連携協定を結んだ。信金のネットワークを生かした観光情報発信などで地域活性化に取り組む。
同町は昨年度、出羽三山エリアの鶴岡市と庄内町とともに、観光庁がインバウンド誘致を集中支援する高付加価値化事業の「モデル観光地選定」で「継続検討」地域となった。西川町役場で行われた締結式で、菅野大志町長は「選定には参画する民間事業者の拡大が必要。鶴岡信金とつながりのある観光事業者にも協力をいただき、庄内の民間事業者を巻き込んで本年度のモデル地域選定を目指したい」と話した。
協定では、西川町の地ビールなど特産品の販路開拓や地域を越えた企業のマッチングなどにも連携して取り組む。佐藤理事長は「観光振興に加え、地域資源を生かした地元企業の活性化に貢献したい」と述べた。