2023年(令和5年) 8月8日(火)付紙面より
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鶴岡市の国指定史跡・庄内藩校致道館で6日、市内の小学生を対象にした「論語素読検定」が行われた。昨夏に続き2回目で、「親子で楽しむ庄内論語」の中から好きな言葉を選んで暗唱し、素読の数に応じて決まる初級・中級・上級を目指し、緊張の中、子どもたちが懸命に素読に挑戦した。
藩校致道館の教育精神・伝統文化の継承に取り組む同市の致道館文化振興会議(橋本政之会長)を主体に、致道博物館、藩校致道館が昨年、酒井家庄内入部400年と、市教育委員会の「親子で楽しむ庄内論語」の作製10周年を記念して初めて実施。当初は記念事業として1回限りの検定としたが、参加した子どもたちや保護者から「貴重な経験だった」「来年以降も継続してほしい」などの要望があり、継続実施を決めた。論語の素読は1805(文化2)年に創設され、明治初めまで約70年続いた庄内藩校致道館が力を入れた学習方法の一つ。
2回目の今年は小学1―6年生27人が挑んだ。開会行事で同会議の橋本会長が「論語には大切な言葉がたくさんあって、今は意味が分からなくても、大人になって思い出すと、きっと皆さんの心のよりどころになるはずです。皆さん頑張って」と激励した。
検定は同会議メンバーらが検定員となり、藩主が使用した「御入間(おいりのま)」に一人一人が入室して行われた。検定員の「慌てないでゆっくりと」と緊張をほぐす声掛けの後、気持ちを落ち着かせて「し、のたまわく―」とそれぞれが覚えた言葉を暗唱。中には長文の言葉をよどみなくいくつも暗唱する児童もいて、検定員を驚かせていた。部屋の外にはわが子の頑張りを動画に撮る保護者の姿もあり、子ども以上に緊張の表情を見せていた。
「親子で楽しむ庄内論語」全55章のうち5つ暗唱で初級、10で中級、20で上級合格。中には来春開校の県立致道館中学の受験に向けて挑戦した6年生の児童もいた。朝暘二小1年の工藤凛さん(7)は「頑張って12個言えた」と笑顔を見せ、母親の望さん(36)は「小学校に入学して『親子で楽しむ庄内論語』を頂き、娘がとっても興味を持っていた。検定は、親の方が緊張しました」とほっとした様子で話していた。
参加者には藩校致道館特製缶バッジが贈られ、後日、合格検定証と致道館文化振興会議の特製クリアファイルが各学校を通じて届けられる。同会議は来年以降の継続実施を予定している。
各級の合格者は次の通り。(検定番号順)
▽初級=小林璃久(朝暘五4年)小林紗奈(朝暘五2年)吉田汐那(朝暘二1年)熊谷凛(朝暘六1年)白幡魁人(朝暘五4年)小南結子(朝暘二1年)阿部優澄(朝暘二1年)余語香音(朝暘二2年)佐藤真帆(大山5年)齋藤宇衣(朝暘二2年)
▽中級=佐藤颯良(上郷2年)伊藤知寛(朝暘二1年)石黒華(朝暘一3年)齋藤陽介(朝暘二4年)工藤凛(朝暘二1年)佐藤孜龍(朝暘四4年)梅津成志(櫛引南4年)北俐々(朝暘二1年)
▽上級=渡邉廉人(朝暘二4年)佐藤遼優(朝暘六6年)村瀬勇翔(朝暘六3年)村瀬蒼空(朝暘六6年)五十嵐玲王(朝暘五6年)田中一帆(朝暘二5年)小野寺朝紀(京田3年)恩田奏愛(朝暘四4年)市川咲良(朝暘二1年)
2023年(令和5年) 8月8日(火)付紙面より
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鶴岡食文化創造都市推進協議会(会長・皆川治市長)主催の笹巻づくり担い手講座が4、5日の2日間、鶴岡市下名川の産直あさひ・グーで行われた。参加者がササの収穫やもち米の下準備など一連の工程を体験し、鶴岡伝統の笹巻づくりを学んだ。
生産者の高齢化で担い手不足が進む中、伝統菓子の継承や生産者の育成などを目的に初めて開催した。産直あさひ・グー理事の伊藤ます子さん(74)を講師に、鶴岡の食文化を発信している「鶴岡ふうどガイド」や飲食店経営者など市内の20―40代の8人が参加した。
初日は、近くの山で長さ30センチ、幅10センチほどの葉を収穫。もち米をあくに浸すなどの下準備を行った。2日目は2枚の葉でもち米を包み三角巻きに。1時間ほどゆで、黄色になった笹巻を黒蜜やきな粉で味わった。
同市湯温海で飲食店を営む佐藤芳彦さん(43)は「包むのが難しかったが、ササの収穫から体験できて良かった。今後、店での提供も考えていきたい」と話した。
同市の笹巻は、あくに浸したもち米を使うことで独特な風味のある黄色いゼリー状に仕上がるのが特徴。同市には江戸時代に伝わったとされ、今年3月に文化庁の「100年フード」に認定された。