2023年(令和5年) 8月12日(土)付紙面より
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月遅れのお盆を前に鶴岡市大山の下池で11日早朝、仏壇に供えるハスの刈り取りが行われた。
上池とともに江戸時代後期から続く伝統の作業。現在は地元の「浮草組合」(田中富雄組合長、組合員35人)が採取する権利を有し、小舟に乗った組合員が水面のハスの葉をかき分けながら刈り取る風景は、大山地区の夏の風物詩となっている。
この日は午前4時半ごろから田中組合長(72)、加藤一雄さん(71)、石井有久さん(57)の3人がそれぞれ小舟に乗り、櫂(かい)を操りながら池を進み、咲き掛けの花や巻き葉、地元で「タンポ」と呼ぶ花托(かたく)など計200本ほどを刈り取った。昇った朝日が水面を照らし、咲き誇る大型のハスの花が光を浴びて輝きを増す光景に、池の堤を散策する人たちも見とれていた。
9日は餅を載せて供える葉のみ約900枚、10日は花など約200本を刈り取り。池のほとりで直売したほか、地元や庄内町の生花店や卸に出荷した。
2023年(令和5年) 8月12日(土)付紙面より
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高校生から博物館学芸員の業務や地域の歴史・文化を知ってもらう学芸員体験講座「ChiDoアカデミー」が6日から10日までの3日間の日程で、鶴岡市の致道博物館(酒井忠順館長)で行われた。高校生たちが歴史、美術、民俗の各テーマについて、資料の取り扱い方や保存、整理などについて学んだ。
昨年度、同館の酒井家庄内入部400年記念事業の一環として地元高校生による学芸員体験が企画され、関連展示会の解説パネル作成と展示作業体験などが行われた。本年度は庄内の歴史と文化を次の100年につなぐ「NEXT100事業」として、体験企画を引き継ぐ形でChiDoアカデミーを開催。学芸員の通常業務について高校生から理解を深めてもらおうと、資料の保存や整理、研究、公開の考え方などを伝えた。
アカデミーには鶴岡南、鶴岡東、羽黒、鶴岡中央から8人が参加。6日に歴史、9日に美術について学び、最終日の10日は民俗がテーマで6人が出席した。同館の本間豊学芸部長が講師となり、「日本民俗学の開拓者・柳田國男は『人は死んだらどうなるか』について、古くからの考え方を調査、研究し続けた。魂は高い山に飛び、供養されて浄化される。お盆の時に家族の元へ戻ってくる」など、民俗学の基礎について解説した。
また、美術品と民俗資料の違いについて「大名が茶会で使った茶わんは名のある職人が作ったものなら美術品に当てはまる。一般家庭で使われた茶わんは産地や制作者が分からない場合が多く、民俗資料となる」と述べ、「資料を収集し、素性を調査、研究するのも学芸員の大切な業務。誰がいつごろまで使っていたのか、いつごろ、いくらぐらいで購入したのか細かく調べ、大きさや形状を図面で描くこともある」と話した。
参加者の一人は「民俗学は学ぶ機会がなく、非常に難しいが興味を引かれる部分も多く勉強になる」と話し、講話にしっかりと耳を傾けていた。