2024年(令和6年) 6月12日(水)付紙面より
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144歳になりました―。「時の記念日」の10日、鶴岡市睦町の常念寺で近くの常念寺保育園(田中英嗣園長、園児131人)の園児が国内最古の塔時計を見学した。
この日は園児74人が常念寺を訪問。渡邊剛紀副住職が「今、塔時計は休んでいますが当時は鶴岡の人に時刻を伝える大切な役割を果たしていました。生活のリズムを刻む時間を大切にしましょう」と寺院の書斎にある塔時計の歴史を分かりやすく子どもたちに伝えた。
園児は「♪コチコチカッチンお時計さん、コチコチカッチン動いてる」と時計の歌を合唱。時間とともにモノを大切にする心を学んだ。
常念寺にある塔時計は1881(明治14)年に時計商で技術者の金田市兵衛が製作した。旧西田川郡役所にあったが、その後、常念寺に移された。裏側にあった「銘文」から国内最古の塔時計と分かり1984年に鶴岡市指定有形文化財に、今年4月に県指定有形文化財に登録された。
2024年(令和6年) 6月12日(水)付紙面より
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つるおか食文化創造都市座談会2024「食文化の伝統と創造」が9日、鶴岡市の鶴岡アートフォーラムで行われた。同館で開催中の全国巡回特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」に合わせたイベントで、同展監修を務めた佐藤洋一郎さん(ふじのくに地球環境史ミュージアム館長)をはじめ、鶴岡市の食文化に関わる人たちが地域で受け継がれてきた食文化や未来への思いを語った。
今年12月にユネスコ食文化創造都市の認定10周年を迎える鶴岡市では、節目の年に合わせた記念事業として特別展や食文化体験、まち歩きなどさまざまな関連イベントが行われている。
座談会は記念事業の一環として鶴岡アートフォーラムと市教委の主催で実施した。登壇者は佐藤さんのほか山形大農学部の江頭宏昌教授、合同会社Maternal(マターナル)の小野愛美代表、DEGAM鶴岡ツーリズムビューローの中野律さん、市食文化創造都市推進協議会の俵谷敦子さん、山形大名誉教授の平智さんの6人。市民など約40人が聴講した。
平さんが進行役を務め、食文化の伝統と創造に絡めた「過去、現在、未来」をテーマに、庄内の食の魅力や思い出などを登壇者が語った。
この中で金山町出身の小野さんは鶴岡市内の日本料理店で勤務した時の体験として「お客さまから『今日のカレイはなんだや』と聞かれ、『ヤナギガレイです』と返したら『クチボソでねなが』とがっかりされた。なんて口が肥えた人たちのいる地域だろうと驚いた」とエピソードを披露した。
また、江頭教授は「国登録無形民俗文化財に登録された庄内の笹巻は、地域によって形や色、作り方などさまざまな違いがある。中身が黄色の南庄内の笹巻は、灰汁(あく)で煮ることと笹の葉が着色に大きく関わっている」と解説し、他の登壇者からも驚きの声が上がっていた。
食文化の未来に関して佐藤さんは国内の自給率の低さについて言及。「耕作放棄地が増えてクマやイノシシが出没し、食料を作ることがさらにままならなくなる。30年後この国はどうなっているのか、現在の若者は目の当たりにすることになる。食べ物を守ることは生活を守ること。未来に向けていま、しっかりと考えなくてはならない」と警鐘を鳴らした。