2024年(令和6年) 10月5日(土)付紙面より
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県高等学校定時制通信制生徒生活体験発表会が3日、庄内町の庄内総合高校で開かれ、県立高校の定時制・通信制に通う代表生徒7人が学校生活の中で体験したことなどについて意見発表した。
さまざまな事情を抱えながら定時制や通信制で学ぶ生徒に、仲間たちの体験を聞くことで生き方を考える機会にしてもらおうというもの。発表会は県高等学校定時制通信制教育振興会(井上恭一会長)が主催し、定時制・通信制がある霞城学園、新庄北、米沢工業、鶴岡工業、酒田西、庄内総合の6校持ち回りで開催している。
この日は各校代表生徒や教員ら計約70人が参加。初めに井上会長が「自分自身のこれまでを振り返り、整理して他の人に伝えることで、自分の目標やこれからの道筋が見えてくる。それぞれの思いを発表してほしい」と激励した。
発表会は1人7分の持ち時間、井上会長ら4人の審査員が「学校生活を中心とした体験か」「論旨が明瞭に表現できているか」など10項目で審査した。中学生活になじめず定時制高校に進学した生徒は「定時制の少人数教育は自分に合っていて、アルバイトもできる。アルバイトではどうすれば仕事を効率的にできるか考え、先輩に褒められるとやりがいを感じる。入学してから明るくなり活発になれた。今後も新しい環境に飛び込む勇気を持ち、自分自身の可能性を信じて真剣に物事と向き合っていきたい」と述べた。
また、高校に入学し駅伝に打ち込んでいた矢先、がんを発病。家族や周囲の支えで病気を乗り越え、現在は仕事をしながら通信制に通う生徒は「今は生きて働けることにこの上ない喜びを感じている。多くの人に勇気と笑顔をもらったので自分も周囲の人に恩返しをしていきたい。生きていることは当たり前のことではない。1分1秒を大切に生きて」と呼び掛けた。
審査の結果、最優秀賞には「感謝と宿命」と題して発表した庄内総合高通信制の後藤大良さん(2023年度入学)が選ばれた。後藤さんは来月17日に六本木ヒルズハリウッドプラザ(東京都)で行われる全国高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会に出場する。