2005年(平成17年) 12月11日(日)付紙面より
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庄内地方は10日、強い冬型の気圧配置となり、鶴岡市では前日から雪が降り続き、正午現在で積雪26センチを記録するなど大雪に見舞われた。
酒田測候所によると、10日正午現在の最低気温は0・5度で平年より1・4度低く、今冬一番の冷え込み。鶴岡市では前日からの雪で櫛引地区で積雪26センチを記録した。酒田は2センチで、南庄内を中心に雪が降り続き、日中は暴風雪・波浪警報が出される大荒れの天候となった。
鶴岡市の市街地では、今シーズン初めて除雪車が出動。9日深夜から国道や県道沿いなど主要道路の除雪作業に追われた。10日午前中は時折強い風を伴いながら断続的に雪が降り続き、朝から自宅前などで除雪作業に精を出す市民の姿が目立った。大型店舗の駐車場などでも、開店に間に合わせようと早朝から除雪車による作業が行われていた。
12日まで冬型の気圧配置が続き、雪を伴う天候となる見込み。
朝から除雪車が対応に追われた
2005年(平成17年) 12月11日(日)付紙面より
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鶴岡市西荒屋(旧櫛引町)の産直あぐり運営管理組合(澤川宏一組合長)が、地元特産の庄内柿を使った果汁飲料「くしびき育ちのおいしいドリンク」とジャムの製品化に成功した。11日からあぐりでドリンク、ジャムとも200個の限定販売を開始する。
旧櫛引町は果樹栽培が盛んで、柿は1980年に「櫛引の木」として制定されたほどなじみが深い。庄内柿については、渋抜きの後に形の悪いものは「はじき」と呼ばれ流通から除かれる。このはじきを「加工品開発できないか」という生産者の声が10年以上前からあった。
しかし、柿は渋抜きしても加熱すると含有成分の影響で「渋戻り」を引き起こすことから、製品化に至っていなかった。あぐり加工室の三浦昭三加工主任によると、「3年前にも果汁飲料の開発を試みたが、どうしても渋戻りが壁となり、一時は開発を断念した」という。
その1年後、加工者の新製品開発を支援する庄内総合支庁の「庄内ふるさと活性化事業」の一環で、新潟県央研究所の古田道夫さんをアドバイザーに迎えて開かれた研修会が製品化成功の大きな契機となった。古田さんは柿渋の活用法に長年取り組み、新潟県で柿を利用した製品の開発にも携わった「柿渋」の専門家。古田さんから「渋戻り現象は解決できる」というアドバイスを受け、再び果汁飲料の開発が始まった。
間もなく渋抜きに成功し、その後は味や色合いの研究と試作を重ね、今年10月末に果汁飲料が完成、先月29日に鶴岡市のいこいの村庄内で開かれた農産加工食品の開発検討会で披露された。ドリンクは関係者の注目を集め、10月に入ってから県内各地の業者などから流通時期などについて問い合わせが来ているという。
三浦主任は「柿はビタミンCを多く含んでおり、風邪予防や血管の老化防止、美肌などに効果がある。健康飲料としても良いでは」とし、「渋抜きの技術は一番苦労しており、最大の企業秘密なので教えることはできないが、古田さんから『柿はかんきつ類と合う』とアドバイスを受け、地元産の梅を加えて味を整えた」と、ドリンクの特長について話す。
今年度は瓶入りのドリンク(360ミリリットル、380円)を200本、ジャム(150グラム、300円)を200個、限定生産しており、本格的な生産は来年度からの予定。いずれもあぐりでの販売が中心となる。
同組合では今後も製品改良を続け、価格を下げることや二次加工による新商品開発なども検討しているという。三浦さんは「製品化の成功は組合員たちや加工室の職員などみんなの協力で果たしたもの。リンゴやナシなどと合わせ、櫛引産のフルーツの味を多くの人に味わってもらいたい」と話していた。
全国でも珍しい柿の果汁飲料やジャムの製品化に成功した