2005年(平成17年) 12月27日(火)付紙面より
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庄内町榎木のJR羽越本線の砂越―北余目間で、秋田発新潟行き上り特急「いなほ14号」(6両編成)が脱線、転覆した事故で、列車内から救出されていない3人の乗客がいる可能性があることが分かった。県警などは27日、280人態勢で捜索を再開、4人の遺体が見つかった先頭車両を中心に調べている。国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会も同日朝、調査を再開、同日午後には北側一雄大臣が事故現場を視察する予定。
庄内署の捜査本部によると、秋田市内に住む女性から26日未明、「娘が秋田から事故列車に乗車したが、鶴岡市の自宅に着いていない。携帯電話で連絡しても応答がない」と同署に連絡があった。女性は28歳の国家公務員で、25日午後に秋田駅から列車に乗った可能性がある。
いなほ14号は25日午後5時34分、1時間1分遅れで秋田駅を出た。母親の話では通常の出発時間直前の午後4時半過ぎ、女性から「列車に乗り遅れてしまう」と電話があり、その後、連絡が取れなくなったという。
また、30歳代とみられる女性が酒田駅を通過した後、4歳前後の女の子を連れて列車内を歩いていたのを複数の乗客が目撃していたことが分かった。
目撃者の1人で先頭車両の左最後部に乗っていた女性は、同署の調べに対し、「親子は秋田駅から列車に乗り込み、右側の後ろから3列目に座った。自分は居眠りをしていたので、その後は分からない」と話しているという。
目撃情報などを受け県警は27日朝から捜索を再開。クレーン車を使って先頭の6号車が突っ込んだたい肥小屋を壊す作業を行った。午後零時45分ごろに捜査員2人が列車に入り内部を調べている。
一方、事故調査委員会は同日、盛り土の下からの強風で車体が浮き、脱線した可能性も視野に調査している。前日まで線路に複数の痕跡が確認されており、脱線との関係や脱線場所などについて調べている。
吹雪の中、作業員が懸命にたい肥小屋の除去に当たった=27日午前11時すぎ