2005年(平成17年) 12月30日(金)付紙面より
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庄内町榎木のJR羽越本線特急「いなほ14号」の脱線、転覆事故で、県警と消防は30日、現場での範囲を拡大して捜索活動を行っている。また、現場周辺に6基の風力計を設置、データを収集する。28日に秋田県内の女性が名乗り出た「不明母子」について、同じ車両の乗客に対する聞き取り調査を行い、情報の確認作業を急いでいる。事故車両は30日夜に現場から秋田市内に搬送される。31日には警察、消防合同の大規模捜索を行い、乗客が見つからなければ、捜索活動は終結する見通しになった。
庄内署の捜査本部によると、29日に3号車と4号車を移動させ、車内と車両があった地点とその周辺を捜索したが、乗客はいないことが確認された。30日午前中は、線路上に残っていた2号車をクレーンでつり上げ、土手下の路面に下ろした。前日夕方に2カ所に設置した風力計は、橋りょうなどに新たに4基設置した。1週間程度稼働させ、JRの風速計が正しく機能しているかや急激な突風が吹くかなどを調べ、強風と事故との因果関係を検証する。
行方不明の可能性があるとされた母親と女の子については、秋田県由利本荘市の女性(41)が29日、「私たちのことではないか。秋田駅で乗り、羽後本荘駅で降りた」と名乗り出たことを受け、同じ車両に乗っていた全乗客と連絡を取り、裏付けを急いでいる。これまでに酒田駅以降に6号車で母子の姿を見たとの情報を寄せた埼玉県内の女性以外、母子を目撃した乗客はいないという。また、列車が秋田駅を出たところで母子を目撃した女性に写真を提示したところ、「似ている」との供述が得られたことから、捜査本部は「不明母子」はこの2人とほぼ断定した。
捜査本部と国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は、事故原因究明のため、脱線した6両の車両の移動をJR側に要請した。JRは、大型トレーラーを使って30日夜に秋田市内のJR秋田総合車両センターに事故車両を運ぶことにしている。また、捜査本部はレールや枕木を証拠品として押収する方針。
一方、県警の北尾憲治本部長は30日、事故現場を視察した。北尾本部長は、祭壇に花束を捧げ、犠牲者の冥福を祈った後、報道陣の取材に応じ、「明日、大量の警察官と消防隊員による大規模な捜索を実施したい。広範囲に設定し、雪を取り除いていく」と語り、31日の大捜索の結果次第で、捜索活動は事実上、終了するとの見通しを示した。
横転した4号車をクレーンでつり上げて移動。残された乗客がいないか、車内や車両のあった地点の捜索が行われた=29日
2005年(平成17年) 12月30日(金)付紙面より
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今年も鶴岡市山王町の山王日枝神社前で、毎年恒例の正月用「松飾り」の露店が店開き。市民にもなじみの「お山王はんの松売り」が城下町に年の瀬を告げている。
かつては10数軒が立ったが、店主の高齢化や量販店に押され、露店は年々減少している。今年は早い露店で27日から店開き。神社前に積もった雪の上には、青々とした松やユズリハがずらりと並べられている。
29日午前中は、青空ののぞく穏やかな天気となったが、店主の一人は「客足は鈍い。毎年30日が一番忙しくなるので今年もそうだと思う」と語った。また「今年は雪が多くユズリハが雪に埋まってしまっているため、いつもより量が少ない」と話していた。
店先には青々とした大小さまざまの松が並んでいる
2005年(平成17年) 12月30日(金)付紙面より
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正月を古里で過ごす人たちの帰省が29日から始まった。羽越本線特急列車の脱線事故の影響を受け、JR鶴岡駅では大きな荷物を手にした乗客や出迎えの姿が例年より多く見られた。
JR東日本新潟支社によると、帰省ラッシュは30日午後にピークを迎えるとみられている。29日午前8時半すぎに新潟を出発した羽越本線の「いなほ1号」は乗車率80―90%程度で、昼以降に鶴岡へ到着する各下り特急はいずれもほぼ満席という。
この日の午前、JR鶴岡駅では防寒具を着込んだ親子連れなどがホームに降り立ち、改札をくぐると家族や友人の出迎えを受けて笑顔を見せていた。
一方、庄内空港では同日、午前8時半すぎに庄内へ到着した1便にやや空席が残っていたが、以降の3便はすべて満席。飛行機が到着するたび、ロビーは出迎えの家族で混雑した。
陸路、空路とも帰省ラッシュは31日まで続く見込み。Uターンは3日がピークとみられている。
ホームは多くの帰省客で混雑した=29日、JR鶴岡駅