2005年(平成17年) 12月8日(木)付紙面より
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庄内の各酒蔵で「新酒」の仕込み作業が始まっている。間もなく出荷され、香り高い新酒を味わうことができる。
新酒の仕込みは早い酒蔵だと10月中旬ごろから始まり、寒さが厳しくなる1、2月に作業のピークを迎える。山形の酒は全国新酒鑑評会金賞の常連酒蔵が多いなど近年、全国的な評価が高まっている。
精米、洗米、蒸米、麹(こうじ)造り、酒母造り、もろみ造り、圧搾(しぼり)など約40日間の作業を経て、その年の酒が出来上がる。
酒所・大山地区にある創業約400年の老舗、「出羽ノ雪」の渡會本店(渡會俊正社長)では10月下旬から仕込みが始まった。酒造りを担うのは渡會社長の長男で杜氏の俊仁さんと、弟で麹屋の俊男さんの2人を中心とした若手蔵人。
7日午前中は麹造りが行われ、蔵人たちは蒸し上げた米の状態に注意を払いながら、丁寧にほぐして粗熱を取り、31度ほどに保たれた麹室で蒸米に麹菌をふりかけ、さらしに包んで「床」に仕込んでいた。同社の新酒の出荷は今月15日から。仕込みは2月末ごろまで続く。
蒸気の中、蒸米の粗熱を取る蔵人たち
2005年(平成17年) 12月8日(木)付紙面より
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鶴岡市は、同市出身の故藤沢周平さんの関係資料などを紹介する文学記念館の建設構想を本格化させる。市では、遺族などによる開設準備委員会を設置するとともに、6日に開会した12月定例市議会に基本構想の策定経費を盛り込んだ補正予算案を上程。本年度内に基本コンセプトなどを協議していく。建設地は中心部の鶴岡公園内を検討し、没後10年にあたる2007年の着工を見込んでいる。
藤沢さんの没後、遺族から約5000点の関係資料の寄贈の申し出を受けている市では、藤沢さんの業績と文学資料を後世に伝え、作品に登場する「<海坂(うなさか)藩」のモデルで藤沢文学の原風景といわれる城下町・鶴岡や庄内の精神、文化を、訪れた人たちに広く理解してもらう施設として以前から文学館建設を構想していた。
これまで没後10年の開館を念頭にコンセプトなどについて慎重に協議を進めてきた。さらに今秋には藤沢さんの遺族や研究者、出版社、地元関係者など委員7人で構成する開設準備委員会を設置。建設に向けて本格的に動き出した。
市によると、本年度は記念館の方向性や内容、コンセプトなど基本構想をまとめる。06年度に基本計画や実施計画を進め、07年度の着工、08年度の完成を見込でいる。建設地は中心地の鶴岡公園内で、大宝館の北側一帯の敷地約1300平方メートルを基本に検討を進めている。市は、今定例会に基本構想のコンサルタント委託料や開設準備費として約410万円を盛り込んだ一般会計補正予算を計上した。
6日の本会議総括質問で、富塚陽一市長は文学記念館に触れ、「藤沢先生は庄内を本当に心の底から愛しておられた。作品の心に触れようと観光客も多く訪れている。建設場所は城址であり、しっとりと納まる鶴岡公園内を基本に考えている。鶴岡をはじめ庄内全体が藤沢文学のミュージアムとしてとらえ、その起点になるようなコンセプトで取り組みたい」と述べた。