2006年(平成18年) 1月12日(木)付紙面より
ツイート
酒田市の松原小(大川擴校長、児童628人)に10日、受精したハタハタの卵がやってきた。6年生が先月に産卵床を作り、ハタハタの大群が押し寄せる酒田北港の通称・水路に設置していたもの。今後は6年生が成長の様子を観察していく。
この卵は、海洋生物の保護や環境教育を行っているNPO法人「みなと研究会」(事務所・酒田市緑ケ丘、守屋元司代表理事)のハタハタ増殖の調査研究の一環で採捕された。ハタハタはどんなものに産卵しやすいのか調べようと先月初め、松原小の6年生107人が魚網(縦約1メートル、横約5メートル)に杉や松、笹の葉、針金、ホウキなどを取り付けた産卵床を5基ほど製作、水路内に設置していた。
この日はみなと研究会の会員のダイバー4人が水路に潜り、県知事の特別採捕許可に基づき、産卵床に生み付けられたゴルフボール大の卵の塊約30個を採捕。海水とともにすぐに松原小に運び、水槽に入れた。
塊一つには、直径2ミリほどの卵が1000個前後。大半が発眼し、針の先ほどの白く小さい目が2つ。卵の中でかすかに動く稚魚に、「あっ」と驚く先生もいた。
水槽は6年生の4学級などに置き、成長を観察していく。来月下旬ごろにふ化する見込みという。
みなと研究会によると、水路内の海底は砂浜で、ハタハタが産卵する海草類はほとんどない。そのためか、産卵床には卵の塊が数百個生みつけられているという。魚網に取り付けたさまざまな葉っぱなどの中でも、特に杉の葉にはたくさんの卵が生み付けられ、今回採捕した約30個もすべて杉の葉と一緒。杉の葉は自然状態で産卵するときの海草に形が似ているという。
会員の1人は「昨冬は水路内に多量の卵が何層にも重なり、新鮮な水の供給がないためか、みんな白くなって死んでいた。増殖には海草が必要だが、周辺にもいそ焼けで海草はほとんどない。来季はさらに一歩進め、間伐した杉を枝ごと沈める方法などを試したい」と話していた。
海岸に生み落とされたハタハタの卵の採捕は、県海面漁業調整規則で禁じられており、県知事の特別採捕許可が必要。
松原小で水槽に入れられた卵
2006年(平成18年) 1月12日(木)付紙面より
ツイート
農林水産省の「地域に根ざした食育コンクール2005」で、鶴岡市ゆうあいプラザかたぐるま障害者生活支援センター(同市ほなみ町)の活動「なっ葉はっ葉料理教室」が、最高賞に次ぐ優秀賞に輝いた。14、15の両日に東京国際フォーラムで開かれる「ニッポン食育フェア」で表彰式が行われ、活動内容がパネル展示で紹介される。
「なっ葉はっ葉料理教室」は、小規模作業所や授産施設などに通う在宅の知的障害者同士の親ぼくと自立支援、食生活改善や健康管理を目的とし、2002年度から実施している。同センターを拠点に、市生涯学習指導者で民生委員の武山育さんが講師となり、敷地内の畑で栽培した野菜を使った料理教室などを開催、障害者とボランティア、同センタースタッフ約40人が参加。各年度末の3月には感謝の意味を込めて家族や地域のボランティアなどを招待しての手づくり料理の食事会を開いている。
本年度の活動では、参加者からの要望を取り入れ、市内のすし店に協力してもらいイナダを使った魚のさばき方や握りずしに初挑戦したほか、イチゴ刈りなどの屋外活動も取り入れた。また、孟宗汁、緑黄色野菜や香草野菜を使った料理づくりをはじめ、かたぐるま祭(11月)では自分たちで育てたサツマイモを使ったカレーを販売した。今月には豆腐づくりなども予定する。
コンクールは、食生活改善、教育、食品産業、農林漁業の各分野で、地域に根ざした食育活動について団体などから事例を募り、表彰するもの。本年度は全国から計238事例が寄せられた。
審査の結果、最高賞の農水大臣賞1団体、優秀賞4団体、優良賞7団体、特別賞19団体が選ばれた。「なっ葉はっ葉料理教室」は、知的障害者の自立支援や地域交流、食生活改善などの活動が高く評価され、食生活改善分野で農水大臣賞に次ぐ優良賞(同省消費・安全局長賞)に輝いた。
受賞に、同センターの山本佳所長は「講師の武山さんやボランティアの皆さんのおかげ。最初は虫が苦手な人がいて野菜づくりも大変だったが、経験を積む中で自信を持ち、楽しく活動できるようになった。教室で習ったことを取り入れて心豊かな生活を送ってもらえるよう、これからも仲良く活動していきたい」と喜びを語った。また、教室担当職員の阿部幸さんは「包丁の扱いも上手になり、魚料理に挑戦したいなど参加者の意欲が芽生えてきたのがうれしい。今後も要望を取り入れて充実させたい」と話している。
表彰式には山本所長と武山さんが参加する。今月29日の教室で報告し、みんなで喜びを分かち合うことにしている。
「地域に根ざした食育コンクール」で優秀賞に輝いた「なっ葉はっ葉料理教室」