2006年(平成18年) 1月13日(金)付紙面より
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酒田市の砂丘地特産で、旬を迎えているアサツキが大雪の影響で出荷量が減り、品薄状態になっている。雪に埋もれた畑から掘り出すアサツキ。産地の同市十里塚地区の畑には数十センチの積雪があり、生産者は雪をかき分けてから出荷作業をする重労働を強いられている。
同市の十里塚や坂野辺新田、黒森、浜中などの砂丘地で11月下旬から3月に栽培される。独特の風味と歯ざわりがあり、酢みそあえやおひたし、てんぷらにして親しまれている冬の味覚。例年だと年明けから収穫のピークとなるが、今冬は大雪に阻まれている。
酒田市袖浦農協によると、これまでの出荷量は平年の3割減。同農協では緊急の対策として除雪機を購入し、アサツキ部会の生産者に貸し出しをしている。
同農協アサツキ部会の高橋与五郎さん(64)方(同市十里塚)では約3アールの畑でアサツキを栽培。畑には40センチほどの積雪があり、12日は高橋さんと家族が額に汗しながらスコップで雪をかき分け収穫作業に追われた。ここ数年は暖冬が続き、畑に雪が積もっても10センチ程度だったという。
高橋さんは「雪かきで例年の何倍もの労力がかかる。少量ずつしか収穫できない状態」と頭を抱えていた。
雪に阻まれ、アサツキの収穫は重労働を強いられている=酒田市十里塚
2006年(平成18年) 1月13日(金)付紙面より
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庄内の旬の味覚・寒鱈(かんだら)を塩味、酒粕仕立ての汁にした新作料理「新寒鱈汁」の試食会が12日、酒田市浜田一丁目の料亭「御園」で開かれ、市内の観光関係者らが新しい味わいの郷土料理を堪能した。「さっぱりしているのにコクがあり、おいしい」など好評で、酒田の新名物になるものと期待が高まっている。
新寒鱈汁は、酒田観光物産協会(旧酒田観光協会)と市の呼びかけで1999年度から実施している食のイベント「地酒フェア」の一環で創作された。市内の蔵元の新酒と寒鱈汁など寒鱈料理をセットにした「冬の膳」を、酒田料亭組合の加盟店で提供するもので、企画のマンネリ化を防ぎ新風を吹き込もうと、昨年6月ごろから同組合の調理人たちが新料理を検討してきた。
一般的な寒鱈汁がみそ仕立てで、具も鱈と豆腐、ネギ程度なのに対し、新寒鱈汁は塩味、酒粕仕立てで、具も豆腐、大根、ジャガイモ、ニンジン、ネギと豊富だ。鱈をはじめ、ネギは平田地区の赤ネギなど、地元産の地産地消や健康にも配慮。地元で鮭や塩鱈などを使って塩味、酒粕仕立てでよく食べる「三平汁」をヒントに、新鮮な生鱈のうま味を引き出すように心がけたという。
この日の試食会には約40人が参加。「冬の膳」のうち、新寒鱈汁と従来の寒鱈汁の新旧2種をはじめ紅花の炊き込みご飯、市内蔵元7社のうち4銘柄を選べる純米吟醸酒などをセットにした新寒鱈汁コースを味わった。
参加者は「塩鱈の三平汁はよく食べるが、肝などを入れた生鱈は初めて。こんなにおいしいとは思わなかった」「野菜のうまみが出て、さっぱりしているのにコクがある」など好評だった。
料亭組合の関係者は「酒田の新名物として定着し、冬季の観光客増につながれば」と期待を語っていた。
新寒鱈汁を含む「冬の膳」は14日から来月26日まで市内料亭6店で提供。問い合わせは酒田観光物産協会=電0234(24)2233=へ。
塩味、酒粕仕立ての「新寒鱈汁」