2006年(平成18年) 1月14日(土)付紙面より
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庄内観光コンベンション協会が繰り広げている冬の新たなテーマ観光「雪灯篭と味覚散歩」の一環で、鶴岡市の「日本海寒鱈(かんだら)まつり」に彩りを添える雪灯篭(とうろう)の制作が12、13の両日、鶴岡公園内で行われ、鶴岡工と鶴岡北両高校の生徒たちが計10基の雪灯篭を完成させた。
「雪灯篭と味覚散歩」は、庄内を代表する冬の味覚の寒ダラの「どんがら汁」と雪を組み合わせ、庄内の冬の魅力をアピールし、さらなる冬の観光誘客を図ろうと、同協会が今冬初めて企画した。
目玉となる雪灯篭は大きさ約90センチ四方で高さ約1・8メートル。15日に開催される「日本海寒鱈まつり」に合わせて荘内神社参道などに設置し火がともされる。昨年末には羽黒山山頂の出羽三山神社合祭殿参道に設置し、訪れた参拝客に好評だった。
雪灯篭づくりは2日間にわたって行われ、同協会の呼び掛けに応じて鶴岡工高、鶴岡北高の各生徒たちがボランティアで参加し、荘内神社参道に8基、高山樗牛の胸像周辺に2基の計10基を制作した。
このうち初日の12日は、鶴岡工高の生徒会やボランティア部、生徒有志の1―3年生24人が参加して6基を制作した。生徒たちは数人のグループに分かれ、雪を詰め踏み固めた雪の塊「トーフ」に木型を当て赤いチョークで形取りした後、シャベルなどで雪を削って灯籠の形に仕上げた。
参加した男子生徒の1人は「結構力が必要できれいな形にするのが難しいけれど面白い。火をともすのが楽しみ」と話し、雪灯籠づくりを楽しんでいた。2日目の13日には鶴岡北高女子サッカー部の1―2年生部員28人が、残り4基の雪灯篭づくりを行った。
14日午後4時半から参加した高校生たちによる点灯式が行われ、15日までの2日間、雪灯篭と周辺に置いた雪行灯(あんどん)約20個が午後5時から同8時の間でろうそくの明かりがともされる。
同協会では、21、22の両日に酒田市で開かれる「酒田日本海寒鱈まつり」でも、山居倉庫敷地内に計10基の雪灯篭を設置する。制作は東北公益文科大生がボランティアで参加する予定。
雪灯篭づくりに励む高校生たち=12日、荘内神社
2006年(平成18年) 1月14日(土)付紙面より
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県は12日、羽越本線脱線事故による社会的、経済的影響を調査する第2回会合を開いた。鶴岡―酒田間の運転再開が遅れれば、庄内地域の広域観光事業「庄内ひな街道」への影響が懸念されることや、鉄道貨物輸送をトラック輸送に切り替えた地元企業からはコスト高から収益への影響が大きくなることなどが報告された。また、高校生の通学への影響では、庄内でほとんどの高校が3学期の始業となった10日には代行バス利用者など全体で約1100人が遅刻したことが報告された。
事故発生翌日の昨年12月26日以降の羽越本線、陸羽西線の運転見合わせ、区間運休による1日当たりの平均影響人員は計約4600人、年末年始(12月28日―1月5日)は計約7900人で、今月12日までの累計は11万2500人に上った。
観光関係のうち温泉地の宿泊については、事故直後はキャンセルがあったものの、「いなほ」が先月29日にあつみ温泉駅から鶴岡駅まで運行されるようになってからは例年並みの入り込みで推移。ただ、運転再開が遅れれば影響が懸念されるとした。来月には「庄内ひな街道」の誘客キャンペーンが始まることから、安全性を確保したうえでの早期の運転再開の要望が強いことも報告された。
鉄道貨物輸送の面では、トラック輸送に代替えできない化学メーカーの製品が滞留。また、食品メーカーは鉄道輸送をトラック輸送に切り替えて対応しているものの、コスト高への懸念が出ている。庄内産の米の出荷や北海道などからの野菜の入荷もトラック輸送への切り替えでコストが高くなっていることが報告された。
一方、庄内地域の20高校で羽越本線を利用して通学している生徒は約1550人(田川地区約1000人、飽海地区約550人)。10日には雪による代行バスの遅れで庄内全体で約1100人が遅刻。JR側は、田川地区高校長会などの要請で11日以降はバスを増発して対応しているものの、同日は約600人、12日も田川地区の高校だけで約480人が遅刻した。同会は、午前8時には鶴岡駅にバスが到着するよう運行への配慮をJRに求めた。
さらに、今月21、22の2日間は鶴岡中央高校と酒田西高校を会場に大学入試センター試験が行われることから、県高校教育課は12日、鶴岡、酒田の両駅長に対し、両日の代行バス運行に万全を期すよう要請した。
影響調査の窓口となっている県交通企画室は「運転が再開されないままだと、不通を前提に行動するようになり、影響が見えにくくなる。見落としがないように情報を集め、早期の運転再開を要望していきたい」と話している。