2006年(平成18年) 1月4日(水)付紙面より
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庄内地方はこの冬、12月の早い段階から大雪に見舞われている。12月31日には鶴岡市が庄内地方で今冬初の除雪対策本部を設置した。各市町では除雪の予算を予定より早いペースで消化、補正予算を組まざるを得ないなど、例年にない対応を迫られている。
酒田測候所と酒田市によると、酒田では昨冬の最大積雪深23センチに対し、今冬は12月13日に同月としては同測候所の観測史上2番目に多い37センチを記録した。また、昨冬の酒田の年間降雪量222センチに対し、同25日までに119センチを記録。本格的な雪が予想される「寒の入り」を前に、すでに昨冬1年間の半分を超える量が降った計算となる。一方、鶴岡市では鶴岡公園の降雪累計が12月10日の降り始めから同28日までで、昨冬(2004年12月―05年3月)の降雪累計の63%にあたる152センチを記録した。
酒田市土木課によると、同市の本年度の除雪予算は旧3町分を含めて1億1800万円。12月末までにこれをほぼ使い切り、補正予算を組まざるを得ない状況となっている。
鶴岡市は12月31日、豪雪対策本部(本部長・芳賀肇助役)と、各支所長を本部長とする現地豪雪対策本部を設置した。同日朝、鶴岡公園の積雪量が、本部設置基準の70センチを上回る72センチとなったため。同市の本部設置は旧市管内では5年ぶり。
同市では今冬、旧5町村分を含め3億3900万円の除雪対策費を計上している。12月28日現在ですでに48%、約1億6500万円を使った。本所、各支所で予算計上で稼働日数が異なるため単純に比較できないが28日現在で本所は当初予算の62%、藤島支所は46%、羽黒支所と櫛引支所は各40%、朝日支所は39%、温海支所は41%を支出。
同市土木課は「累計降雪量が150センチを超えるのは早い年で1月中旬、例年は2月に入ってから。12月の段階で超えた今冬は異常な降り方といえる。除雪対策費の増額は避けられないのでは」と話している。
3町でも協議に入る
庄内町建設課によると、町職員直営分を除き本年度の委託分の除雪予算は8000万円。うち12月28日現在で約4200万円を使い、「天候を見ながら補正を組む準備を進めている」(同課)。
遊佐町も除雪予算2850万円のうち、12月25日現在で約2100万円を使った。同町地域整備課によると、「12月からこんなに降った年は記憶にない。1月に補正を組まざるを得ない」という状況。
三川町では12月中の除雪支出額の集計をまとめている段階だが、同町建設課は「12月25日現在で2カ月程度になる88時間稼働しており、すでに1シーズン分を消化した」と話している。
今冬は12月上旬から大雪に見舞われた。各市町は予定より早いペースで除雪費を消化している
2006年(平成18年) 1月4日(水)付紙面より
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庄内町榎木のJR羽越本線特急「いなほ14号」の脱線、転覆事故で、JR東日本は2日、復旧作業を開始した。作業は4、5日間で終了の見込みだが、抜本的な安全対策ができるまで運転を見合わせ、バスで代行輸送している鶴岡―酒田駅間の運転再開の見通しは立っていない。死者5人、負傷者32人を出した大事故は今後、本格的な原因究明と、それに基づく安全対策が焦点となる。
庄内署の捜査本部によると、行方不明とされた母親と女の子について、県警と消防は合同で31日に228人(県警170人、消防58人)による大規模な捜索を実施。車両が脱線したとみられる地点から約250メートル区間で、線路の東西両側で雪を掘り起こすなどして捜索したが、母子ら乗客に結び付く痕跡はなく、乗客はほかにいないと判断、捜索を終了した。
一方、事故原因究明の一環で、脱線した車両6両を秋田市のJR秋田総合車両センターに搬送する作業は31日、1日の2日間にわたって行われた。当初は30、31日に行われる予定だったが、30日夜は吹雪で作業が行えず、31日夜に1、2、6号車、1日夜に3、4、5号車がそれぞれ大型トレーラーで搬送された。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会が損傷の状況などを詳しく調べている。県警も今後、秋田に捜査員を派遣して調査する予定。
捜査本部は31日、脱線した付近約350メートル区間で、レール計700メートルと枕木530本を証拠品として押収、JR余目駅構内に搬送した。その後、同捜査本部が原因究明のため調査を進めている。
また、事故直後の25日夜から全面通行止めとなっていた現場付近の通称・スーパー農道は31日午後9時50分、規制が全面解除された。
JRの復旧作業は、県警が現場検証に一定の区切りを付けたことを受け、2日午後1時すぎに再開された。
作業の中身は押収・撤去された350メートル区間の枕木530本とレール左右計700メートルの設置、パンタグラフが接するトロリー線の張り替え、脱線時に倒伏などした電柱5本の設置など。天候にもよるが、4、5日間かかる見込み。
作業は約150人態勢で徹夜で行われ、3日午前5時までにレールはすべて現場までの搬送を終え、枕木は110本、電柱は2本まで設置を終えた。
JR東日本の高野裕一現場対策本部長代理は「今進めているのはあくまで元に戻す作業。鶴岡―酒田駅間の運転再開は未定。安全度を高めるための作業は検討中」と話している。
レールの下に枕木を敷設する作業員たち=3日午前10時半ごろ