2006年(平成18年) 1月7日(土)付紙面より
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庄内町榎木で発生したJR特急脱線・転覆事故で、JR東日本の高野裕一現地対策本部長代理が6日午前、会見し復旧工事が完了したと発表した。同社の現地対策本部はこれまでの30人態勢から5人態勢にするなど規模縮小を図るが、運転再開まで継続。現地―本社間の連絡、献花台を訪れる人たちの案内など担うという。
5日夜から6日未明にかけ順調に工事が進み、同日午前5時ごろに枕木の下に砂利を敷き詰める作業が終わり復旧工事が完了したという。高野本部長代理は会見で、「安全対策については現在、本社で検討中。運転再開のめどはたっていない。事故調査委員会の調査、警察の捜査と並行しJR東日本でも独自に事故原因を調べており、安全が確保されれば、調査や捜査の結果が出る前でも運転再開はある」と話した。
会見終了後、対策本部員全員が献花台前に整列、代表し高野本部長代理が献花した後、黙とうを捧げ犠牲者の冥福を祈った。
この事故を受け同町の原田眞樹町長は5日午後、JR東日本に対し要望書を手渡した。
要望内容は、▽代行バスでは会社や学校の開始時間に間に合わないため、直行バスの運行▽利便性を踏まえ、事故区間でないJR羽越線余目―鶴岡駅間の列車運行▽不安解消のための早期の情報提供、臨時輸送対応の地域住民への周知・徹底―の3項目。原田町長が事故現場を訪れ、同社の高野本部長代理に手渡した。
原田町長は「この事故に関してJRも誠心誠意やっているのは理解できる。これからの対応で心配されることを申し上げた」と話した。
国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調査官が5日午後、現場での調査を再開した。調査委員会事務局によると、主に風速関係の調査という。
現場を訪れたのは、今回の事故を受け新たに調査官に任用された気象庁職員と調査委員会の調査官の2人。事故現場の地形を写真撮影したり、復旧工事に当たっていた同社社員に話を聞くなど約2時間にわたって調査。調査委員会事務局によると、7日まで現地に滞在するという。
風速計など調査のために4日ぶりに現場を訪れた調査官(左)=5日午後2時45分ごろ
2006年(平成18年) 1月7日(土)付紙面より
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イタリアのベストセラー小説を原作に、米国の大手ニューラインシネマが製作・配給を手がける映画「SILK」のロケ地として、酒田市の山居倉庫周辺が使われることになった。3月20日ごろに役者、スタッフ、総勢約100人が訪れ、1、2日間のロケを行う予定。来年5月中旬のフランスのカンヌ映画祭に出品し、その後、全米や日本などで公開される。受け入れ窓口となっている酒田観光物産協会では「酒田を情報発信し誘客につながれば」と期待している。
原作はイタリアの作家、アレッサンドロ・バリッコの小説「絹」(原作名『SETA』、1996年刊)。19世紀後半に、ヨーロッパで蚕の病気がまん延。フランスの青年エルヴェが、健康で、世界で最も美しい糸を吐く蚕を求めて鎖国中の日本を訪れ、山村で出会った美しい女性に引かれていくという展開。当時のヨーロッパ人が抱いていた幻想的な日本の姿が描かれたラブストーリーで、イタリアでベストセラーとなった。
製作・配給するニューラインシネマは、「ロード・オブ・ザ・リング」などを手がけた大手。「レッド・バイオリン」(第72回アカデミー賞音楽賞受賞)などのフランソワ・ジラール監督がメガホンを取り、日本円で総額約22億円を投じて製作する。日本ではカンヌ映画祭でのデビューに合わせ、全国100カ所程度で公開される見込み。
出演するのは、主役のエルヴェ役にマイケル・ピット、エルヴェの妻のエレーヌ役にキーラ・ナイトレイ、日本側では山村の絹の権威者・原十兵衛役に役所広司、フランス在住の日系人のマダム・ブランシュ役に中谷美紀などが決まっている。
酒田観光物産協会によると、日本でのロケは長野県松本市と酒田市の主に2カ所で、松本では山村のシーン、酒田では主人公が入国するシーンが撮影される。酒田は「日本の古い港」として、全国11カ所の候補の中から選ばれた。昨年9月ごろに打診があり、このほどロケ地として正式に決定した。
ロケは、山居倉庫やそばの新井田川、山居橋周辺で、主人公が入国する際の荷物の揚げ降ろしなど、4シーンが撮影される予定。当時の雰囲気を出すため木造船なども県外から搬入されるという。
酒田観光物産協会では「19世紀後半は山居倉庫はなかったが、『日本の古い港』のイメージがあるとして選ばれたのは光栄。県や市、全農庄内本部などの協力を得ながら、ロケがうまくいくように支援したい。知名度アップにつながれば」としている。
映画「SILK」のロケが行われる酒田市の山居倉庫周辺