2006年(平成18年) 2月2日(木)付紙面より
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庄内町の余目第三小学校(田中愛子校長、児童268人)で1日、ケナフの紙すき体験が行われ、3年生47人がオリジナルのはがきを作った。
ケナフはアフリカ原産の植物で成長が早く、繊維から紙を作れば二酸化炭素削減につながるとされる。余目三小では1999年から環境学習の一環で、町余目第三公民館(梅木孝館長)、住民組織の第三学区地域づくり会議の協力で、3年生が校内の学習畑でケナフを育て、紙を作っている。
今年は6月に苗を植え、高さ2、3メートル、茎の直径2センチ前後に育ったケナフを12月初めに収穫。1月半ばには繊維を取るために皮をむいた。よく乾燥させた皮は、第三公民館職員が細かく刻んで4時間ほど煮て柔らかくした。
この日、第三学区地域づくり会議のメンバーで、年間を通じてケナフに関する指導をしている遠田照勝さんや第三公民館の職員2人らが「地域の先生」として来校。ケナフの繊維とのりを混ぜ水で薄めたものを、網を張った木枠ですくい、1人3、4枚のはがきを作った。
子供たちはすき上げた繊維の上に、パンジーの花びらやモミジの葉などを載せるなど、この世にたった1枚しかないオリジナルのはがき作りに楽しそうに取り組んでいた。
太田優貴君は「花を入れるところが面白かった。完成したはがきは宮城県のおばさんに出したい」と喜んでいた。
ケナフの繊維ではがきをすく余目三小の子供たち
2006年(平成18年) 2月2日(木)付紙面より
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時化(しけ)が続く冬場は、刺し網やはえ縄漁を営む漁業者にとって水揚げが激減する厳しい季節。県漁協豊浦支所や同酒田支所所属の一部の漁業者が、県内ではこれまであまり利用していなかった水産資源の「トラフグ」に着目し、需要の多い築地市場へ活魚で出荷する冬場の新たな漁に取り組んでいる。
秋田県で先行して行われていたはえ縄のトラフグ漁を視察した豊浦漁業技術研究会長で指導漁業士の鈴木重作さん(52)らが2003年から試験的に取り組み、そうしたノウハウをもとに現在、豊浦支所や酒田支所所属の計10人ほどが漁法や輸送法を試行錯誤しながらトラフグ漁を営んでいる。
県庄内総合支庁水産課によると、築地市場では昨シーズン、輸送距離が短く状態の良い庄内産トラフグの活魚は比較的高い評価を受け、1キロあたり平均8800円の高値が付いた。フグ専門店が少なく需要がほとんどない県内では築地市場の半値以下で取引されていた。
活魚で出荷するには、船上でトラフグの空気袋に針で穴をあけエア抜きするなど技術的な難しさと、出荷用の容器や輸送の経費がかかる。しかし、単価が高いトラフグは活魚出荷に向いており、鈴木さんらは大きな期待を寄せている。
本格的にトラフグ漁に取り組んで2年目のシーズンを迎えている豊浦支所所属「大黒丸」(2・9トン)の本間雅夫さん(48)は昨シーズン、25匹の水揚げで63万円の出荷額があった。「魚場は手探り状態で、漁に出ても1匹も獲れない時もある。輸送法にも改良の余地があり、まだまだ試験的な段階だが、収入のなかった冬場の新たな漁として期待は大きい。今冬は前年の経験を生かし、少しでも水揚げを増やしていきたい」と話した。
トラフグを船の水槽から出す本間さん=31日