2007年(平成19年) 4月14日(土)付紙面より
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鶴岡市にかつては自生していたが現在はほぼ見られなくなった「サクラソウ」。これを自生に向く河川敷へ移植し、桜の季節に桃色の清らかな花が咲く風景の復活を目指す「南庄内水と緑の環ネットワーク」(岡部恵美子代表)では、親株の持ち主など情報の提供を求めている。
サクラソウはサクラソウ科サクラソウ属の多年草。国内では北海道南部から本州、九州の高原や原野に分布するが、絶滅危惧(ぐ)種の指定を受けており、自生の群生を見ることはまれになっている。桜が咲くころに、高さ約20センチの桃色(まれに白花も存在)の花が咲く。
鶴岡市では、1971(昭和46)年ごろまで中橋地区にサクラソウが咲いていたとされる。72年にほ場整備で自生地が失われることになり、貴重な植物の保護のため市などがサクラソウを鶴岡公園内の大寶館東側付近に移植したが、根付かなかった。
このほか同市三瀬の気比神社周辺や、旧櫛引町常盤木にも自生地があったが、いずれも現在は確認されていない。
同ネットワークでは、中橋地区に自生していたサクラソウを、ほ場整備の前に自宅に持ち帰った人がいる可能性があることに着目し、親株の提供を希望している。親株が入手できた場合、「サクラソウがほぼ見られない状態にあることを知らない市民も多く、清らかな花の美しさを見直してもらうため」(同ネットワーク)として、自生に向く赤川河川敷などへの移植を計画中だ。
同時に赤川の河川施設のウオッチングや自然観察会、植栽地の管理などサクラソウの復活に取り組む「赤川愛し隊」の会員も募集している。問い合わせなどは同ネットワーク事務局の月山ダムインフォメーションホール=電0235(54)6711=まで。
清らかな花を咲かせるサクラソウ=写真提供・水野重紀氏(鶴岡自然調査会)