2007年(平成19年) 6月17日(日)付紙面より
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鶴岡市櫛引地域の赤川沿いで16日、サクラソウの試験植栽が行われた。愛好者たちが親株の保有者を見つけ株分けしてもらったもので、希少種の増株を図るとともに「サクラソウが咲く風景の復活」を目指す。
サクラソウはサクラソウ科サクラソウ属の多年草。国内では北海道から本州、九州の原野などに分布する。野生種は絶滅危惧種の指定を受けており、自生の群生を見ることはまれになっている。桜が咲く季節に高さ約20センチの桃色や白、紫などの花を咲かせる。
鶴岡市では、1971年ごろまで中橋、日枝地区に自生していたが、72年のほ場整備で野生種はほとんど絶滅したと見られている。このほか、同市三瀬の気比神社周辺や、旧櫛引町常盤木、遊佐町などに自生地があったが、いずれも現在は確認されていない。
「南庄内水と緑のネットワーク」(岡部恵美子代表)の赤川桜プロジェクト関係者が親株の提供者を探したところ、櫛引地域に自生していたサクラソウの子孫は愛好者の手で数多く保護されており、株分けも可能ということが判明した。今回は、株分けしてもらったサクラソウを櫛引地域の赤川沿いに試験植栽し、自然へ戻した状態での増株を目指す。
この日は同ネットワークの呼びかけで集まった同市内の愛好者10人が参加。春先に日当たりが良くなり、人がほとんど通らない場所を事前に下調べし、スコップで穴を掘って約20株を植えた。
同ネットワークでは「ほかの地域の野生種は保管している人も現存数も少ない。まず親株を増やしてから植栽に取り掛かりたい」と話していた。
「サクラソウが咲く風景の復活」を目指し、試験植栽が行われた