2007年(平成19年) 12月1日(土)付紙面より
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鶴岡市は29日、市街地への飛来がピークを迎えているカラスの個体数を把握するため、ねぐらとなっている鶴岡公園の周辺で生息調査を実施した。6観測点計12人のカウントを単純加算した羽数は約7200羽に上り、重複カウント分を除いても、従来の推定値の2倍となる6000羽超が飛来していることが分かった。
市が、これまで把握していた市街地の個体数は2000年に調査した2500羽。その後、被害拡大や生息環境の変化などを加味し、2500―3000羽を推定値としていた。しかし、近年は在来種のハシブトガラスやハシボソガラスに加えて、大陸から冬場に渡ってくるミヤマガラスが急増している状況もみられている。
今回の調査は、今後のカラス対策を進める上で、基礎となる羽数を押さえることを目的に実施。市街地への飛来が11月から12月下旬にかけてピークを迎えるこの時期を予定していた。
調査では、ねぐらとしている鶴岡公園周囲の市役所、荘内病院、鶴岡工高など計6カ所が調査ポイント。午後2時から5時の間、市環境課職員12人が公園に向かって“帰宅”してくるカラスを目視でカウントした。
夕暮れが迫った午後4時以降、赤川方面や北西部の田園地帯から、数十羽単位の「黒い群れ」が次々と鶴岡公園周辺の高い建物や電線の上に飛来。職員は忙しくカウンターを押し羽数を調査していた。
市環境課は、今回の調査結果を「相当増加していることが分かった。種別は調査していないが、渡りのカラスも加わっているようだ」と分析。本年度から市街地2カ所に箱わなを設置し、3年間で市街地のカラスを2000羽程度まで戻すため、年間200羽ずつの捕獲、処分を計画しているが、「来年度以降の捕獲計画の見直しも検討したい」としている。
カラスの羽数調査を行う鶴岡市職員=29日午後4時半ごろ、市役所屋上
2007年(平成19年) 12月1日(土)付紙面より
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酒田市内の公立4高校を統合して2012年4月の開校を目指す酒田新高校(仮称)構想検討委員会(星川隆会長、委員10人)の第3回(最終)会合が30日、同市の松陵学区コミュニティ防災センターで開かれ、報告書を大枠で取りまとめた。東北公益文科大など県内外の大学と連携する「高大連携」、地域の意見を反映するコミュニティ・スクール(学校運営協議会)の導入検討など、新たな試みを盛り込んだもの。この日委員から出た意見を踏まえて事務局が細部を調整し、年内にも県教育長あてに報告書を提出する方針。
県教育長の依頼を受けて今年10月から、新高校で、▽どのような人材を育てるか▽どのようなことを学ばせるか▽地域とどう連携するか―の主に3点を検討してきた。
この日、事務局が示した報告書案は「新高校の在り方」「開校に伴う課題」の2章から成るもの。 新高校の在り方は、3つの検討課題に対応したもので、どのような人材を育てるかについては、1.社会から信頼される人2.高い志をもった人3.将来のリーダー4.地域を大切に思う人―の4つが柱。
どのようなことを学ばせるかについては「情報」「環境」「公益」「国際化」の4つのキーワードを踏まえ、部活動・ボランティア活動の充実、教育相談機能の充実、コンピュータリテラシー(コンピューターなどを使いこなす技術をもつこと)、起業家教育の実践などを盛り込んだ。
地域との連携については、大学の授業の聴講と単位認定を行う高大連携、地元企業へのインターンシップの充実、企業関係者から教員が指導を受ける学術アドバイザー、企業との共同プロジェクト、地域活動への積極的参加、コミュニティ・スクールの導入検討などを盛り込んだ。
課題として、定時制については、「新高校は11学級となることから併置は課題があるが、多様なニーズに対応した高校整備を踏まえると、当面は酒田商業高定時制(夜間)を市内の全日制課程の高校と併置することが望ましい」とした。また、再編で空いた校舎の活用、霞城学園高(山形市)のように昼・夜間定時と通信制を併せもつ多部制も検討課題、とした。
登下校時の安全への配慮については、道路の拡張や歩道の整備、臨港貨物線の活用の検討の必要性などを盛り込んだ。
委員からは報告書案について、「地元の東北公益文科大との連携を強く打ち出してほしい」「県内初の情報科の存在をもっと強調して」「もう少し『酒田らしさ』を出せないか」「入学後の転科への対応を明示して」「周辺設備を活用する方向性より、新設備を作って市民に開放する方向性を打ち出して」などの意見が出ていた。
今後、県、市ではこれらの意見を踏まえて報告書の細部を調整する作業と並行し、新高校の具体的なカリキュラムを詰める「基本計画策定委員会」を立ち上げ、年度内にも基本計画を策定する方針。