2007年(平成19年) 12月30日(日)付紙面より
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正月を古里で過ごす人たちの帰省ラッシュが29日から始まった。JR鶴岡駅には大きな荷物を手にした乗客が次々とホームに降り立ち、出迎えの家族と再会を喜んだ。
JR東日本新潟支社によると、帰省ラッシュは30日午後にピークを迎える見込み。29日午前8時半すぎに新潟を出発した羽越本線の下り「特急いなほ1号」は乗車率110%となり、午後に鶴岡へ到着する各下り特急もいずれも満席という。
この日の午前、JR鶴岡駅では防寒具を着込んだ帰省客がホームに降り立ち、改札をくぐると家族や友人の出迎えを受けて笑顔を見せていた。
一方、庄内空港では29日、東京発庄内着の1、4便に若干空席がみられたが2、3便は満席になった。飛行機が到着するたび、ロビーは出迎えの家族などで混雑した。
陸路、空路とも帰省ラッシュは31日まで続く見込み。Uターンラッシュは3日がピークとみられている。
駅構内は大きな荷物を持った帰省客で混雑した=29日、JR鶴岡駅
2007年(平成19年) 12月30日(日)付紙面より
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鶴岡市大岩川の浜中地区で28日、小学生の女の子同士がわらのくじを引いて「姉妹の契(ちぎ)り」を結ぶ珍しい風習「ケヤキ姉妹」の儀式が、同地区の大阪神社で取り行われた。1999年以来8年ぶりで、2組の姉妹が誕生、生涯にわたって姉妹として交際していくことを誓った。
風習の由来ははっきりしないが、約200年の歴史があるとされ、「ケヤキ」は樹木の欅(けやき)ではなく「契約」がなまったものという。成女になるための儀式的な意味を持ち、女性の大役であるお産が軽くすむように祈る行事ともされる。契りを結んだ2人が、大みそかから元日にかけて「断食」などの行を一緒に行い、3年間続けるとお嫁にいってもよいとされていた。
このような風習は全国的にも珍しく、1989年に旧温海町の無形民俗文化財、93年には国選択文化財の指定を受けた。
この日は午後2時すぎに子供たちが同神社に集合。前回に誕生した先輩姉妹2人が指導役を務め、わらを2つに折った4本のくじを用意し、みんなで輪になりくじを引き、姉妹の組み合わせを決めた。
誕生した姉妹は、佐藤瑠菜さん(11)=温海小5年=と剣持朋美さん(9)=同4年=、剣持幸菜さん(10)=同5年=と佐々木春花さん(11)=同5年=の2組。神社から200メートルほど離れた小国川の河口まで引いたくじをつかんだまま移動し、くじを川に流し末永く姉妹として付き合っていくことを誓った。
この日結ばれた2組の姉妹は、大みそかに地区内の剣持一善さん方に一緒に泊まり、持ち寄ったもちを交換して食べた後、元日の昼まで食べ物を口にしない「断食」の行に入る。早朝には同神社で祈祷(とう)も行う。
次回の契りの儀式は、地区内に対象となる小学生の子供がいないため、5、6年後になるという。
小学生の女の子たちがわらのくじを引き、生涯にわたって姉妹の契りを結んだ
2007年(平成19年) 12月30日(日)付紙面より
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県が27日に示した2008年産米の市町村別の生産目標数量や、それを達成できない都道府県・地域にペナルティーを科すこともあるとした国の方針に、庄内地方の市町の農政担当者らから、疑問と不信の声が上がっている。
国が提示した来年産米生産目標数量「需要量に関する情報」は、県全体で07年産に比べて7770トン(1・99%)減の38万1940トン(面積換算6万4286ヘクタール)。このうち1449トンが過剰作付けのペナルティー分とした。
県では、過剰作付けがあったと報告した酒田市、三川町、庄内町、遊佐町など13市町に計417トン分を科し、残る1032トンについては国と市町村の作付面積把握の乖離(かいり)によるものとして全市町村に案分して振り分けた。このため、内陸のある市からは「過剰作付けを行っていないにもかかわらず、ペナルティーを受けるのはおかしい」という声が出た。
一方、過剰作付けがあったと報告して、ダブルでペナルティーを受けた庄内地方のある町の農政担当者は「ほかの市町村の報告が、どれほど実態に即したものなのか。データの取り方そのものが公平なのか」と、裏付けのない数字に疑問をはさむ。
この疑問について県生産技術課は「公文で報告を求めており、市町村の数字をそのまま(信用して)まとめた」と話し、あらためて裏付けを取ることは「しなかった」という。
また、国の「当面の生産調整の進め方」に、08年産米の生産調整を達成できない都道府県・地域について、▽08年産の産地作り対策が予定通り交付されないことがある▽09年産の同対策で不利な取り扱いを受けることがある―などのペナルティーが盛り込まれたことについても不満が漏れた。
ある担当者は「正直に減反に協力している農家が責任を取らされる。先が見えない取り組みだ」と話す一方で、「生産調整のあり方に疑問はあるが、改善要望し(目標数量を)受け止める」と、苦しい立場を吐露している。
他の担当者は「(国は)とにかく来年産の過剰作付けをなくしたいと、なりふり構わずに対策を出してきた感じがする。減反の非協力者にペナルティーを科すより、協力している農家へのメリットを厚くして、『こっちの方がいい』という政策にしないと計画外出荷は減らない」と指摘。
別の担当者は「今年から始まった政策が、もう見直しされている。これでは農家は将来展望を立てられない。われわれ末端行政も振り回される」と、「猫の目農政」に不信感を募らせた。