2007年(平成19年) 12月4日(火)付紙面より
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遊佐町の蕨岡小学校(山澤勉校長)の6年生による「上寺地区宿坊調べ発表会」が2日、学区内の上寺地区公民館・大鳳館で開かれた。
同地区は、鳥海山蕨岡修験の33宿坊とその門前として栄えたという。中央部には「本殿」「随身門」「神楽殿(かぐらでん)」が今年、国の文化財建造物に登録された鳥海山大物忌神社蕨岡口の宮がある。
児童たちは本年度、地域学習の一つとして同地区内の宿坊にスポットを当て、「地域の先生」として同地区在住の伊東直人さん、東北芸術工科大の米村祥央専任講師(文化財保存科学)の協力を得ながら約8カ月かけ学習を深めてきた。
この日は地区民ら約50人が参加し、6年生18人がパネルとプレゼンテーションソフトを使用し発表。33宿坊のうち名称と場所が判明している16宿坊について、1カ所ずつ名称と特徴を挙げた上で、「大泉坊の門は国の文化財」「宿坊の人たちは、豆腐屋、酒屋なども営んでいた」など学習成果を披露。そして「この地区は一つの街として形態を持っていた」とまとめた。
また、上寺地区の宿坊のために自分たちができることとして、▽発表した内容をパンフレットにまとめる▽16カ所をスタンプラリーで回るイベントの開催▽自分たちで宿坊をガイドする―などを挙げ、「もうすぐ卒業なので全部は無理。後輩たちにも伝えていきたい」と述べた。
6年生は今後、今回の学習成果を寸劇や紙芝居にする予定。
学習成果を披露する蕨岡小の6年生たち
2007年(平成19年) 12月4日(火)付紙面より
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日本の伝統野菜にスポットを当てた山形在来作物研究会の公開フォーラムが1日、鶴岡市の山形大農学部で開かれ、種の保存にテーマを絞った講演とパネルディスカッションを通し、在来野菜の魅力を探った。
同研究会は、「在来野菜の宝庫」と言われる庄内地方に伝わる野菜の調査と研究に取り組む組織として4年前に設立された。研究者や農業者、野菜に携わる業界の関係者らが会員に名を連ねている。年に1回、公開フォーラムを開催している。
今回のフォーラムは、野菜の継承に欠かせない「在来作物の『種』とりを考える」をテーマに据えた。会場には地元をはじめ秋田など県外の農家も足を運んだ。
初めに兵庫県内で在来種の保存に取り組んでいる「ひょうごの在来種保存会」の山根成人さんが「種と遊んで」と題して基調講演を行い、種の継承に取り組む会の活動を紹介した。
続いて酒田市の平田赤葱(ねぎ)生産農家・後藤博さん、鶴岡市の宝谷かぶ生産農家・畑山丑之助さん、鶴岡市のだだちゃ豆生産農家・木村充さんが「種とりの苦労と楽しみ」をテーマにパネルディスカッション形式で事例を紹介した。
後藤さんは「太くて丈が長く、赤い色が濃い、分けつしないものを選抜している」と種子選抜の重要性を説き、畑山さんは「栽培者が自分1人になったが、次の世代に伝えたいと守り続けてきた。ここ10年は赤カブと交雑しないようハウスで種取りをしている」と苦労を語った。木村さんは「早生種の種取りは一番暑い時期と重なり、収穫との並行になり作業が大変」と述べた。
「種取り」をテーマに在来野菜の魅力を探った