2007年(平成19年) 4月6日(金)付紙面より
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今年、創立100周年の節目を迎えた酒田市の県立酒田商業高校(田澤藤明校長)で、記念事業の一つとして、同校OBで現在、切り絵師として活躍している竹内昭(雅号・雅洲)さん(79)=酒田市十里塚、1946年卒=が5日、新旧校舎を模した切り絵作品2点を同校へ寄贈した。同校では作品を校内に飾るほか、絵はがきにして記念式典の際、出席者に配布する。
同校は1907(明治40)年、酒田町立酒田尋常高等小学校付設の商業補修学校として創立、今年で100周年を迎えた。創立に向けて尽力したのが、竹内さんの祖父で当時、酒田町議だった丑松翁。「酒田の子弟教育充実のため校地、校舎、教育内容などについて熱意を持って奔走した」(田澤校長)という。
竹内さんは今回、創立100周年記念事業実行委員会(委員長・齋藤俊勝同窓会長)の依頼を受け、昨年12月から制作を開始。2カ月余りで旧校舎を模した「酒田商業学校正門」(A2サイズ)、現在の校舎を描いた「大欅(けやき)とドーム型体育館」(B4サイズ)の2点を完成させた。
同校校長室で行われた贈呈式では、同校、同窓会関係者とともに、竹内さんの出席。齋藤会長が田澤校長に作品を手渡した後、竹内さんが「このようなもので大変恐縮しているが、精いっぱい作らせてもらった」と感想を述べた。
竹内さん(左から2人目)が母校の創立100周年を記念し切り絵を制作
2007年(平成19年) 4月6日(金)付紙面より
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鶴岡市田川地区の赤カブ生産者の女性たちでつくる「田川赤かぶ漬グループ」(武田彦恵代表、会員8人)の会員が4日、同市中清水の焼き畑で越冬したカブの新芽摘みを行った。新芽は春限定の漬物「春摘み菜」として、市内の産直施設などで販売される。
田川地区のカブは、伐採した杉林の斜面で栽培される。同市温海地域一霞の温海カブと同様に農薬を一切使わない焼き畑栽培で、収穫後は生産者や林の所有者が杉の植林を行うため、2年続けて同じ場所で収穫しない。カブ栽培と林業を結びつけた山林リサイクルを実現している。
田川カブは、濃い赤紫一色で白い部分がなく、温海カブよりも平べったいのが特徴。歯ごたえがぱりぱりとしており、辛みも強いという。収穫は10月ごろに始まり、雪が積もるといったん終了となる。雪解けが進んで再度収穫されるカブは「越冬カブ」として高く評価されるが、3月から4月にかけて新芽が出始めたカブは商品価値が薄れるため畑に残される。
この新芽は、田川地区の一部の家庭で自家用漬物に加工されていた。昨春、生産者や地元JA関係者、販売業者の会合で武田代表たちが新芽の漬物を出したところ、販売業者側が注目し商品化を提案した。その後、地元の加工所でグループが開発に取り組んだ。
完成した漬物は、春の野山でカブの新芽を摘む女性をイメージして「春摘み菜」と名付けられ、市内の生協や産直施設などで5月中旬ごろまでの期間限定で販売された。
その中で、「日持ちが悪い」などの課題が浮かび、グループ内でお湯に浸す時間や塩の量などを変えながら、商品改良を進めたところ、「まずまず良いものになった」(武田代表)という。
4日の新芽摘みには武田代表をはじめ6人の会員が参加。杉林の斜面に黄色の花を咲かせた高さ約15センチの新芽を約1時間にわたり計8キロほど摘んだ。その後、加工所でお湯に浸し、塩漬けする。添加物を一切使わない手作りの漬物で、独特のほのかな苦みのあっさり味に仕上がるという。緑の新芽と黄色の花に、赤カブのスライスを添え、見た目も鮮やか。
武田代表は「カブは生命力旺盛で、長寿の秘訣として重宝している地方もある。新芽は漬物だけでなく、油いためやおひたしにしてもおいしい。多くの人に食べてもらいたい」と話していた。
「春摘み菜」は、8日に鶴岡市余慶町の「協同の家こぴあ」で販売されるほか、鶴岡市農協の産直施設・産直館(同市白山)と駅前産直館(同市日吉町)などで販売する予定。
斜面の焼き畑でカブの新芽を収穫する「田川赤かぶ漬グループ」のメンバーたち