2008年(平成20年) 9月23日(火)付紙面より
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鶴岡市切添町の旧鶴岡家畜市場敷地内にある「馬頭観音」碑が、同市場に移設・再建されてから今年で50周年を迎えた。馬頭観音は鶴岡の馬市場が栄えていた江戸時代末期、当時、市場があった大宝寺松原地区に祭られた。赤川の大洪水で流されるなど変遷を経て、1958(昭和33)年に現在地に移設された。馬市場や家畜市場を見守ってきた馬頭観音に感謝の気持ちを込め10月8日、現地で移設50周年記念祭が行われる。
鶴岡の馬市場の歴史は古く、文化年間(1804―17年)に第9代庄内藩主酒井忠徳公から鑑札を受け、大宝寺松原地区に開設されたのが始まりとされる。しかし、この市場は1879(明治12)年の赤川大洪水で水没するなど荒廃し、1885(明治18)年に泉町へ移転。さらに1956(昭和31)年には鶴岡市からの要望で家畜市場として現在の切添町に移った。
明治、大正期の往時には県内はもとより秋田、新潟、岩手、青森などからも牛馬の取引関係者が大勢訪れ、にぎわった。1919(大正8)年には「軍馬一等購買地」に指定され、終戦まで続いた。
馬の守護仏として江戸末期の1864(文久4)年に祭られたとみられる馬頭観音は、台座を含め高さ約2メートル。1879年の赤川大洪水で流され、行方が分からなくなっていた。80年近くたった1956(昭和31)年に大宝寺の農家が大事に保管していることが分かり、家畜市場に再建。1958年に市場の歴史や馬頭観音について記した記念碑とともに建立された。
今年7月、食肉加工の庄内ミート(株)(本社・鶴岡市、大瀧俊一社長)が庄内家畜商商業協同組合から旧家畜市場の敷地約7900平方メートルを購入。将来的に同社の新工場を建設する計画だが、敷地西側にある馬頭観音を末永く祭り続けるとともに、感謝と供養の意味も込めて同社が移設50周年記念祭を行うことにした。
同社の三村千吉会長は「鶴岡や業界にとって大変由緒ある碑で、先人たちの苦労で今日まで守られてきた。50周年の節目に祝いたい」と話している。記念祭は畜産関係者などを招き、10月8日午後3時から馬頭観音の碑前で行う。
移設50周年記念祭が行われる旧鶴岡家畜市場内にある馬頭観音