2008年(平成20年) 1月22日(火)付紙面より
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鶴岡で寒鱈まつり
日本海<寒鱈(かんだら)まつりが20日、鶴岡市の銀座通りで開かれ、市民や県内外から訪れた大勢の行楽客がお目当ての熱々のどんがら汁に舌鼓を打った。
庄内の冬を代表する味覚の寒ダラのどんがら汁を広く紹介し、冬場の観光振興や誘客を図ろうと、鶴岡、酒田、遊佐の3市町が開催している。
20回目を迎えた鶴岡会場は、銀座通りの約300メートルを通行止めにし、地元の鮨商組合や麺類食堂組合、鶴岡魚市場青年部などが出店。約1万食のどんがら汁を用意し、一杯500円で販売した。
この日は、時折日も差すまずまずの天候となり、午前10時半の開幕前から会場は大勢の市民や観光客でごった返し、各団体のテントでは大鍋から湯気が立ちこめた。寒ダラの身や白子、アブラワタ、岩ノリがたっぷりと入った熱々のドンガラ汁を買い求めた人たちは、思う存分に庄内の冬ならではの味を堪能していた。
また、会場では、もちつき実演販売、太鼓やジャズオーケストラの生演奏などのイベント、新潟県と秋田県の観光と物産展、「おきつねはん」まつりなどが繰り広げられ、大勢の人でにぎわった。
遊佐は「鱈ふく汁」
遊佐町吹浦の全天候型ドーム「ふれんどりぃ」とその周辺で20日、「第13回ゆざ町鱈(たら)ふくまつり」が開かれ、町内外から訪れた大勢の行楽客が、ぶつ切りにした寒ダラとフグの味が絶妙なハーモニーを奏でる「鱈ふく汁」を堪能した。
NPO法人遊佐鳥海観光協会(庄司茂正理事長)の主催。地元で揚がったフグも加えることで、一般的な寒ダラのどんがら汁とはひと味違う、みそ仕立ての鱈ふく汁を提供している。
味の良さはもとより、ふく(福)を呼ぶとあって縁起がいいと好評。この日も1000食分を用意した。湯気の上がる大鍋が据えられたテントの前は、午前10時半のオープンを待つ来場者でごった返した。
お昼前には長蛇の列ができ、自分の順番が来ると、岩ノリがたっぷりトッピングされた熱々の鱈ふく汁と、セット販売されたタコ飯などを持って食事会場のドームに入り、「遊佐町ならでは」の旬の冬の味覚を楽しんでいた。
寒ダラとフグの「鱈ふく汁」を味わう小学生たち=遊佐町
2008年(平成20年) 1月22日(火)付紙面より
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鶴岡市出身の作家・藤沢周平さんをしのぶ「寒梅忌」が20日、市中央公民館で開かれ、追悼式や記念講演などで故人の人柄や思い出を振り返った。
寒梅忌は、鶴岡藤沢周平文学愛好会(萬年慶一代表)が藤沢さんの命日である1月26日に合わせ、2000年から毎年1月に開いている。
追悼式では、会場に掲げられた藤沢さんが笑顔で語る写真に黙とう。国民文化祭・やまがた2003で上演されたオペラ「小鶴」で主演した同市在住のソプラノ歌手・石井優さんが「小鶴のアリア」など3曲の歌声をささげた。
続いて、元新潮社編集者の栗原正哉さんが「編集者からみた藤沢周平」と題して思い出を語った。この中で栗原さんは、『本所しぐれ町物語』での創作活動に触れ、「本所をモデルにしぐれ町の細密な地図を作って物語を書いたのでは。また、近所に空き巣が入ったとか、ある所の奥さんが家出したといった世間話がヒントになり、小説の中ではしみじみと心打つ物語になっている。手品を見るような手法だった」と振り返った。
また、栗原さんは藤沢さんの心情を表す言葉として悔恨を挙げ、「最初の奥さんを亡くした時、人間の力を超えたところで負けたという悔恨の念を持っていた。小説を書くこと、心の中のふるさとを描くことで救済したのでは。来年開設される藤沢周平記念館は、藤沢さんが帰るべきふるさととなるだろう」と語った。
続いて、明海大外国語学部日本語学科教授の井上史雄さんが「藤沢文学における写実と虚構」のテーマで記念講演し、江戸ものと海坂藩ものに大別される藤沢文学の庄内方言と江戸時代語について考察した。
思い出話や記念講演を通じ、藤沢さんの人柄や作品について思いをはせた