2008年(平成20年) 1月29日(火)付紙面より
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「港」をテーマに、市民参加型のまちづくりを推進していくための市民組織「酒田みなとまちづくり市民会議」の設立記念式典・フォーラムが26日、酒田市の県酒田海洋センターで開かれた。
学識経験者や港湾利用者らによる酒田港長期構想検討委員会が一昨年3月に策定した国土交通省などの「酒田港長期構想―21世紀の北前船構想」では、「まちづくりにかかわる親水機能」について「国際交流と、憩い、レジャー、学びの場となる酒田港」を掲げている。
今回設立された市民会議は、このテーマを中心とする同構想の推進母体という考え方を柱に、「港」を核にした市民の主体的な「みなとまちづくり」を進めていくためのもの。活動方針としては、同構想の推進力となるほか、市民各層が参加できる場づくり、みなとまちづくりを担う人材の発掘・育成・組織化、官民協働事業の民間側の受け皿となることの4つを掲げた。
設立に当たっては、酒田市を対象にした国土交通省の事業の一環で、港の賑(にぎ)わいを推進する民間組織育成のための支援を受けた。また、官民協働の具体化に向け、同省酒田港湾事務所や県、酒田、遊佐、庄内各市町とパートナーシップ協定を結んだ。
式典には賛同者ら約120人が出席。はじめに開かれた設立総会で市民会議会長に就任した佐藤孝さん(酒田商工会議所副会頭)が「酒田港長期構想は市民参画を大前提に策定されたもの。市民からは積極的に参画してもらいたい。未来は過去より勝ると信じ市民会議を設立する」とあいさつ。いずれも最高顧問に就いた、日本港湾協会長で酒田港長期構想推進委員会委員長の栢原英郎さんが「酒田には港も、空港もある。歴史も、文化も、伝統もある。この条件に熱い思いを付け加え、一歩一歩、長期構想を実現していこう」、「北前船庄内」社長の新田嘉一さんが「港があって酒田がある。港が繁栄し酒田も繁栄してきた歴史がある。『北前船庄内』とドッキングし、酒田が発展することを願う」とそれぞれ述べた。
引き続き行われたフォーラムでは、同省港湾局の梅山和成振興課長が「みなとまちづくりのこれから―最近のみなとまちづくり」と題し講演。栢原さんをアドバイザーにパネルディスカッションも行われた。
活動の推進に向け、年度内にも同名のNPO法人を立ち上げ、官民協働事業の受け皿や資金管理などの機能を担う。
賛同者らが出席し開かれた「酒田みなとまちづくり市民会議」の設立記念式典
2008年(平成20年) 1月29日(火)付紙面より
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「雪の能」として知られる「まつやま大寒能」が26日、酒田市の松山文化伝承館で行われた。県内外から訪れた能楽ファンが松山能(県指定無形民俗文化財)を鑑賞し、幽玄の世界に浸った。
松山能は、江戸・寛文年間(1661―73年)に庄内松山藩の藩楽として定められた。明治以降は民間の演能団体・松諷社(しょうふうしゃ)に引き継がれ、現在まで伝えられている。毎年8月20日の神明神社祭典で神事能として奉納されているほか、同市松山地域の松山城大手門で演じられる薪(たきぎ)能(6月)も人気がある。
寒の時期に演じられる大寒能は、明治期まで総光寺本堂で行われ、その後は長らく途絶えていた。1991年に県内外の能楽ファンで組織する「松山能振興会」が復活させ、同寺本堂で開催していたが、新酒田市誕生を機に一昨年から会場を松山文化伝承館に変更した。
この日上演されたのは、子供狂言の「<盆山(ぼんさん)」と能「紅葉狩(もみじがり)」の2番。会場には約100人の観客が詰め掛けた。紅葉狩は観世次郎作。平安期、信濃の国(長野県)の戸隠山へ鹿狩りに出かけた平維茂(たいらのこれもち)が、山中にひそむ鬼女・紅葉を退治する物語。女面をつけた演者が舞台から下がり、その後鬼面をつけた姿で登場すると客席からはどよめきが起こっていた。
開演前には抹茶が振る舞われたほか、演能の後は松山農村環境改善センターで直会にあたる「雪見の宴」が開かれた。観客は演能者と交流しながら、冬の城下町を堪能していた。
大寒能で舞われた「紅葉狩」。迫力ある鬼面が観客の目を引いた