2008年(平成20年) 11月21日(金)付紙面より
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金融機関などの多額現金取扱所を狙った犯罪が増加する年の瀬を前に、酒田警察署(竹岡信夫署長)は20日、年末特別警戒をスタートさせた。12月31日までの期間中、署員が多額現金取扱所に立ち寄り、防犯体制が適切かどうか指導して回る。
年末になると、金融機関やパチンコ景品買い取り所、コンビニエンスストアといった多額の現金を取り扱う個所を狙った強盗事件が増えることから、広く県民から防犯意識を高めてもらうとともに、体制を強化していこうと県警は毎年12月1日から1カ月間、年末特別警戒を実施している。
酒田署では今回、早い時期から警察官の姿を多く見せることで金融機関などを狙った犯罪の抑止を図ろうと、スタートを10日間前倒しした。期間中、銀行、郵便局、農協などの金融機関、パチンコ店、コンビニエンスストアなど計147店舗を対象に、署員が随時立ち寄るなどの特別警戒体制を敷く。
同署の警戒初日の20日午前、同署駐車場で出発式が行われ、同署員や酒田地区金融機関防犯協会(会長・前田新一荘内銀行常務執行役)の役員ら計約50人が参加。竹岡署長が「金の動きが活発化する年末。外での活動を強化することで管内住民の安全に努めていこう」と訓示。前田会長が「前倒しして実施してもらうのはありがたい。強盗事件、振り込め詐欺事件などを防ぐためにも指導をお願いする」とあいさつした。その後、署員がパトカーに乗り込み出発した。
このうち酒田市中町二丁目の荘内銀行酒田中央支店(伊藤博支店長)には署員2人が立ち寄り、五十嵐昌基副支店長に警備専門員の配置や非常通報装置、非常ベルの有無などの防犯体制について聞いたほか、カラーボールが劣化していないかどうか確認していた。
ひと足早く酒田署で年末特別警戒がスタート=荘内銀行酒田中央支店
2008年(平成20年) 11月21日(金)付紙面より
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東方水上シルクロード貿易促進協議会(会長・新田嘉一平田牧場会長)は19日、酒田市のガーデンパレスみずほで記者会見を開き、中国黒竜江省の企業との間で売買契約を結んだ庄内産はえぬき18トンの輸出手続きがほぼ終わり、近く中国に送られると発表した。国産米の中国輸出は新潟コシヒカリ、宮城ひとめぼれに次いで3番目。新田会長は「画期的なこと」と述べた。
庄内産はえぬきの売買契約は、中国の政策変更で今年、中国産トウモロコシの輸出が困難になったため、1992年から同省のトウモロコシを輸入してきた新田会長に、同省の栗戦書省長が他の貿易品目について要望を聞いたことがきっかけ。
今年6月15日から同省ハルビン市で開かれた国際貿易経済商談会で、栗省長と会談した新田会長は、庄内米の中国輸出を希望。同商談会の平田牧場ブースで開いた試食会も大きな反響を得た。
同協議会と庄内みどり農協は同月17日、同省最大の不動産建設管理企業「ハルビン電池産置業股有限公司」(桑供会長)との間で、庄内産はえぬき18トンの輸出入契約を締結。先月23日には中国へのコメ輸出の窓口である全農が、中国側唯一の窓口商社である中糧国際有限公司(北京)に庄内産はえぬきの輸出申請書を提出し、今月7日に正式に発注を受けた。
現在、最終的な品質検査中で、今月29日ごろに横浜港か東京港で船積みされ、中国・天津新港に向かう見込み。その後、ハルビン市に運ばれ、来年1月上旬にも大手スーパーマーケットなどで販売される予定。
会見では、新田会長がこうした経緯を説明するとともに庄内米が高い評価を得たことなどを明らかにし、「春節前の1月上旬にはハルビンの(フランス系大手スーパーマーケット)カルフールなどで売られるだろう。山形県にとって画期的なこと」と語った。
輸出されるはえぬきは庄内みどり農協管内で生産。阿部茂昭組合長は「新潟、宮城と肩を並べることができる。庄内の農家にとって勇気がわき励みになる。本年産米は品質、食味ともに最高。必ずや中国の国民にも喜んでもらえると思う。今回は18トンと少量だが重い扉を開けることができた。これからも続けたい」と期待を述べた。
同協議会では、現地での販売価格を1キロ当たり1100円から1400円と予想。中国産米は35円から50円ほどでけた違いだが、日本産米は人気が高く富裕層が贈答用などとして購入するとみており、輸出の継続・拡大は「そうした人々をいかに取り込むかが鍵」(新田会長)としている。
中国への庄内米輸出を発表する新田嘉一会長(中央)