2008年(平成20年) 3月14日(金)付紙面より
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日本ファッション協会(理事長・馬場彰オンワードホールディングス名誉会長、東京都)主催の「日本クリエイション大賞2007」の表彰式が12日、東京都赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で行われ、鶴岡市の致道博物館長の酒井忠久氏に地域文化振興賞が贈られた。県内では初受賞。
同賞は、未来に向けて新たな足跡を残し、より豊かな生活文化の創造活動を表彰している。本年度は全国各地の約90件を対象に、脚本家の内館牧子氏や評論家の大宅映子氏などが選考委員となって審査。大賞の任天堂のゲーム開発チームをはじめ、環境アート賞、地域文化振興賞、海外賞の各賞を選考した。
酒井氏と致道博物館は、「市民の手で受け継がれる藩校『致道館』の精神」として地域文化振興賞に輝いた。自ら考え学ぶことを重んじた致道館の教学精神を変わらぬ学びの精神とし、論語の勉強会、詩経会、「少年少女古典素読教室」などを通じて市民の手で受け継いでいることが高く評価された。昨年6月、全国各地の藩校関係者が集う藩校サミットを鶴岡市で開催し、藩校教育の重要性を現代に生かす取り組みも評価された。
表彰式には各賞の受賞者・団体が出席し、それぞれに表彰状とトロフィーなどが贈られた。受賞あいさつで酒井氏は「長年にわたり、致道館の教えを受け継ぐ活動を続けてきた多くの個人、団体の皆さんに感謝。今後の活動の励みとしたい」と喜びを語った。
日本クリエイション大賞で地域文化振興賞を受けた酒井氏(前列右から2人目)
2008年(平成20年) 3月14日(金)付紙面より
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突風の発生を自動的に表示するシステム開発に取り組んでいる気象庁気象研究所(茨城県つくば市)が、酒田市の庄内空港屋上に設置したドップラーレーダーによるデータなどを解析した結果、昨年12月の設置以来、同空港の半径約30キロ以内の範囲で突風とみられる回転性の渦の型が複数回、観測されていたことが分かった。ドップラーレーダー取り外し作業のため同空港を訪れた同研究所の楠研一主任研究官が13日、明らかにした。竜巻、ダウンバースト、どちらにも属さない新種の突風現象かは不明で、今後さらにデータ解析を進める。
同研究所では、死傷者38人を出した2005年のJR羽越本線「特急いなほ14号」脱線・転覆事故の原因が突風とみられていることなどから、鉄道・運輸機構などとともに突風発生を自動的に探知するシステムの開発を研究している。探知システムの完成は10年3月末の予定。
JR東日本が昨年1月、事故現場から約3キロ南側のJR余目駅屋上にドップラーレーダーを整備したことを受け、同研究所は庄内地域をシステムの開発に向けた「モデル地域」とし詳細な気象データを収集。昨年9月には風向と風速、気温、湿度、気圧、雨量強度を観測することができる気象観測装置を庄内地域全域に計26基設置したほか、同年12月には庄内空港屋上にドップラーレーダーを設置した。
ドップラーレーダーで得たデータは同空港内の処理装置に蓄積。楠研究官によると、先行的にデータの一部を研究所に持ち帰り解析した結果、設置以来、複数回にわたってドップラーレーダーの観測範囲内で突風を示唆するパターンが見られたという。具体的な回数や日時などは明らかにしなかったが、「回転性の渦の型。突風の起こった事例を今後抽出し、気象観測装置で得たデータに酒田測候所などのものも加え詳しく解析したい」(楠研究官)という。
一方、取り外されたドップラーレーダーは四国地方に設置され、人工降雨研究のためのデータを収集。今年10月には再び庄内空港屋上に設置される。
楠研究官は「庄内地域では興味深い大量のデータが得られた。詳しい解析には時間がかかるが、今秋までには第1号のテスト版を完成させたい」と話している。
庄内空港ビル屋上から取り外されるドップラーレーダー=13日午前