2008年(平成20年) 4月25日(金)付紙面より
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旧藤島町出身の映画監督、冨樫森監督(48)の新作「あの空をおぼえてる」が26日から全国一斉に公開される。深い悲しみの中、生きていく勇気と希望が描かれた心温まる作品で、冨樫監督は「『これまでの冨樫森の映画の集大成のような作品』と言ってくれる人もいる。人が生きる意味は何だろうと、映画を楽しみながら一瞬でも考えてもらえたら素敵なことです」と話している。
両親と小学4年の長男、幼稚園児の長女の家族4人の物語。子供2人が交通事故に遭い、明るく幸福な一家の象徴のような存在だった長女が幼い命を落としてしまう。
自責の念にさいなまれ、悲嘆にくれる父親。悲しみに打ちひしがれながらも生まれてくる子供のために立ち上がろうとする母親。妹を守ることができなかったというつらい思いを抱えながら、両親の笑顔を取り戻したいとけなげに振る舞う長男。天国の妹につづる兄の手紙。突然の不幸に襲われた家族が、きずなを深めながら懸命に生きていく姿が描かれている。
原作は米国の作家、ジャネット・リー・ケアリーの同名小説。「原作を読んで、最後の場面に強い衝撃と驚き、感動を覚えた」と冨樫監督。原作の持つ「生きていくための希望」を映画にした。「人の生死が身近にあると、日常の大切さに気付かされ、何げない普通の生活を送ることは実は大変なことだと感じられる。そうしたことを考えるきっかけに、この映画がなれば」と。
兄と妹が映画の鍵にもなっている。冨樫監督は「兄は、どうして妹が亡くなり自分は生きているのだろうと考えてしまい、最も伝えたいことを話さずに、両親を元気付けようと頑張る。その少年を小さなヒーローとしても撮った」と語った。主演の両親は、父親役が7年ぶりの映画出演という竹野内豊、母親役は水野美紀。
今後の映画製作について、冨樫監督は「これからも職人のように、『冨樫、撮れ』と言ってくれた人に応えられるようなものを作っていければ。監督が前面に出て、作品に監督の顔が見える映画は、あまり好きじゃない。『登場人物が良かったね』と言ってもらえるのが、一番いい映画と思っている」と話した。
ふるさとを舞台にした映画でメガホンをとることについては「地元で映画を撮るのはやはり気恥ずかしい。好んでやりたいとは、まだ思わない。でも、いい企画があれば、鶴岡でも藤島でもまったく問題はありませんよ」と笑った。
「あの空をおぼえてる」は、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給。イオンシネマ三川など全国の劇場で公開される。主題歌は平井堅の「いつか離れる日が来ても」、劇中挿入歌はシンガー・ソングライターの中山うり。
生と死、家族の愛ときずなを描いた映画「あの空をおぼえてる」
2008年(平成20年) 4月25日(金)付紙面より
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東北公益文科大学、日本政策投資銀行(DBJ)、荘内銀行による産学連携協力協定書の調印式が23日、酒田市の同大酒田キャンパスで行われた。今後は「環境」と「まちづくり」を主要テーマに、地元企業などの取り組みを支援していく。
近年、環境やまちづくり、NPO、企業の社会的責任など公益分野に関するノウハウへの社会的要望が高まっている。そこで、社会公益学を研究している同大、地元企業などのニーズを知る荘銀、企業の環境貢献などに関し審査能力を有するDBJが連携。同大が持つ知的ノウハウ、荘銀の持つ地域情報、DBJの融資制度を一体化し、環境に配慮した経営を目指す企業や、まちづくりのNPOなどを支援する。
同大は連携講座などでさまざまな企業・団体と共同で事業を行っているが、協定を交わして本格的に行う産学連携は初めて。一方、荘銀は山形大農学部、同工学部、鶴岡高専に次いで4件目。DBJは以前から、山形大や岩手大など数多くの大学などと連携している。
この日は、同大の日野雅夫理事長、DBJ東北支店の佐野成信企画調査課長、荘銀の町田睿頭取が協定書にサイン。
その後、日野理事長が「公益の概念が地域、世界の課題を解決するカギ。環境、まちづくりに、三者そろってお手伝いできれば」、町田頭取が「三者の連携はさらなるシナジー(相乗)効果を生み、地域の活性化に結び付くのでは」とあいさつ。また佐野課長が「3機関の性格は異なるが、地域の皆さんの幸せを目指す志は同じ」などとする渡部速夫DBJ東北支店長のメッセージを伝えた。
産学連携協力協定締結後、握手を交わす(左から)佐野課長、日野理事長、町田頭取